研究課題/領域番号 |
22K19260
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分42:獣医学、畜産学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
大石 勲 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 主任研究員 (50314472)
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研究分担者 |
迎 武紘 国立研究開発法人産業技術総合研究所, 生命工学領域, 研究員 (40803309)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 糖鎖修飾 / 糖転移酵素 / ニワトリ / 組換えタンパク質 / シアル酸 / ガラクトース / 糖鎖 / トランスジェニック |
研究開始時の研究の概要 |
高価なバイオ医薬品が普及することで社会受容を超えた医療費の高騰が懸念されるが、問題の解決には医療用組換えタンパク質の超低コスト生産技術が必要である。我々は遺伝子組換えニワトリの卵白中に組換えタンパク質を大量生産し、低コストで生産する技術を実現した。これをもとに、本研究では卵白でヒト型糖鎖構造を持つ組換えタンパク質を生産する手法を開発し、バイオ医薬品利用に向けた高品位製品生産の基盤構築を目指す。
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研究実績の概要 |
バイオ医薬品など組換えタンパク質の需要は拡大しているが、現在の培養細胞を用いた高コストの製造技術は改善する必要がある。我々は遺伝子組換えニワトリの卵白に様々な組換えタンパク質を低コストで生産する技術を開発したが、医薬品製造などへの応用を考えたときにN-結合型糖鎖修飾がヒト型と比較して不完全であること(具体的には末端のガラクトースならびにシアル酸が欠けていること)が解決すべき課題であった。この糖鎖修飾の違いは、ニワトリ卵管細胞に発現する糖転移酵素の特性により決定されているため、適切な糖転移酵素を卵管細胞に発現させることで、卵管細胞により生産された卵白中の組換えタンパク質に、ヒト型のN-結合型糖鎖修飾が実現することが期待される。 本年度、卵管組織でβ-1,4-galactosyltransferase 1 (ガラクトース転移酵素)とβ-galactoside α-2,6-sialyltransferase 1 (シアル酸転移酵素)を発現するノックインニワトリを樹立した。卵管特異的に発現させることを企図し、オボムコイドの翻訳開始点に2A自己切断ペプチド配列を介して両糖転移酵素が発現するようデザインした。ゲノム編集技術による遺伝子ノックインにより企図したニワトリの樹立に成功し、卵白におけるタンパク質のガラクトースならびにシアル酸修飾の顕著な亢進が認められた。このニワトリを他の組換えタンパク質を卵白に発現するニワトリと交配することで、該タンパク質のN-結合型糖鎖修飾をヒト型に近づけることができると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初計画通りノックインニワトリの作出を行った。心配されたニワトリの発生異常等はなく、卵白においても企図したように糖転移の亢進を強く示唆する知見が得られており、研究が概ね順調に進展していると判断される。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに樹立した卵白に外来タンパク質を発現するノックインニワトリと交配し、後代のダブルノックインニワトリの卵白における外来タンパク質の糖鎖修飾に関して解析を試みる。ヒト型の糖鎖修飾を期待するとともに、これに伴うタンパク質の性状変化についても解析を行いたいと考えている
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