研究課題/領域番号 |
22K19261
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
三上 秀治 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (60754976)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 光遺伝学 / ホログラフィ / 高速イメージング / 3Dイメージング / 機械学習 / 蛍光顕微鏡 |
研究開始時の研究の概要 |
線虫やゼブラフィッシュなどの比較的単純な神経ネットワークを持つモデル生物に対して任意のパターンで光操作と神経活動の測定を同時かつ大規模に行い、入力(刺激)と出力(神経活動)の関係を人工知能により解析する、新しい方法論を創出する。これにより、従来の数理モデル等によるボトムアップ型アプローチとは異なるデータ駆動型の研究アプローチを確立し、従来のアプローチでは困難であった神経系の本質的機能の発見を目指す。
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研究実績の概要 |
本年度は予備的検討として線虫の頭部ニューロン群の高速3D撮像を行い、取得データに対してオフラインで細胞位置の解析を試みるとともに、光操作のための高速光変調の検討を行った。まず、独自開発した高速ライトシート顕微鏡を用いて線虫の頭部神経の撮像を行うため、明視野画像をもとに線虫頭部を視野中心に固定するトラッキングステージを製作し、高速撮像(毎秒50ボリューム)に耐える追従動作を確認した。次に、高速ライトシート顕微鏡の撮像条件を線虫頭部神経にあわせて調整し、自由行動中の線虫の撮像に十分な速度である毎秒50ボリュームの撮像を行った。取得データを各種画像解析ソフトウエアにより解析し、頭部全ニューロンの8割弱にあたる約150個の神経細胞の検出および追跡が可能であることを確認した。また、リアルタイムに特定のニューロン群を選択的に光操作するための光学システムとして、高速な空間光変調器および多光子励起が可能なフェムト秒パルスレーザーを導入し、特定のニューロンにレーザー光を集光・照射する動作の時定数を詳細に検証した。なお、検証のため、照射対象はCMOSカメラで明視野撮像した蛍光ビーズとした。検証の結果、カメラの撮像から集光までの所要時間は90 ms程度であり、自由行動中の線虫であってもリアルタイムに追従しながら集光・照射できる見込みを得た。加えて、一連の処理の各要素に要した時間も確認しており、特に計算処理に要する部分が支配的であることが確認された。この点については、計算アルゴリズムの高速化および計算ハードウエアの変更による大幅な高速化が見込まれており、現状の2D撮像から3D撮像に拡張する場合においてもリアルタイム動作を実現する見通しを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り線虫頭部ニューロン群の高速撮像、解析、および光操作システムの基礎的な検討が進んでおり、順調であるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の検討結果を踏まえ、線虫の神経細胞に対する3D光観察、光操作の一連の動作を実証するとともに、観察結果に対する光操作パターンの検討に着手する。
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