研究課題/領域番号 |
22K19274
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
南野 徹 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 准教授 (20402993)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 細菌 / 蛋白質 / 遺伝学 / 感染症 |
研究開始時の研究の概要 |
同一のゲノム情報を持つにもかかわらず、機能的に分化した細胞群が様々な役割分担をしてバイオフィルムを維持している。バイオフィルムに生息する大部分の細胞では運動機能は抑制されているが、ごく稀にべん毛運動する細胞群が存在する。バイオフィルムに生息する細胞と同様にATPaseリング複合体が働かないサルモネラ変異体を用いた研究から、ナトリウムイオンが不均一な細胞集団を出現させる重要なシグナルである可能性が示唆された。この仮説を検証するため、バイオフィルム内部に生息する細菌の細胞内ナトリウムの動的変化を計測できる新規のバイオセンサープローブの開発を目指す。
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研究実績の概要 |
膜電位が過分極状態になることやナトリウムイオンの添加により、非運動性細胞群の中から運動性細菌が突如出現することから、膜を横切るイオンの流れの変化に伴う膜電位の揺らぎこそが不均一な細胞集団を出現させる重要なシグナルである可能性が示唆された。この仮説を検証するには、細胞内ナトリウムイオン濃度の動態変化と運動細胞出現の因果関係を明らかにする必要がある。本研究は、細胞内ナトリウムイオン濃度の動態変化を計測できる新規ナトリウムイオンセンサープローブを開発することを目的とする。本年度の主な成果は以下に示す。 前年度までに、枯草菌由来のMotSのPGBドメイン内に位置する68番目のグルタミンから117番目のグルタミン酸の領域にナトリウムイオン結合サイトが存在することが明らかとなった。この領域を含む様々な長さのフラグメントを設計し、それらのN末端およびC末端にドナー蛍光分子である青色蛍光蛋白質やアクセプター蛍光分子である黄色蛍光蛋白質を連結した分子内FRET蛍光蛋白質プローブを作製した。ナトリウムイオンに対するFRETは、作製した8つの蛍光蛋白質プローブのいずれでも観察されなかった。そこで、この領域がナトリウムセンサーとして機能するのか否かを再検討するため、サルモネラ菌由来のMotBのPGBドメインをMotSのPGBドメインと置き換えたMotAB-Scキメラ複合体を作製した。このキメラ複合体をサルモネラ菌体内で発現させると、サルモネラ菌はナトリウムイオンが培地中に存在する時にのみ条件致死の表現型を示した。この結果は、MotAB-Scキメラ複合体のプロトンチャネルがナトリウムイオンによって活性化され、その結果、大量のプロトンがサルモネラ菌体内に流れ込み、細胞の増殖が阻害されることを示唆している。以上の結果から、MotSのPGBドメインはナトリウムイオンセンサーとして働くと結論づけた。
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