研究課題/領域番号 |
22K19293
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
廣瀬 哲郎 大阪大学, 大学院生命機能研究科, 教授 (30273220)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | long noncoding RNA / mRNA / 核外輸送 / サテライトDNA / 相分離 / noncoding RNA / nuclear export / satellite DNA / bimolecular condensate / ノンコーディングRNA / RNA顆粒 / 翻訳 / リピート配列 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞核内での確固とした機能を果たしているlncRNAが、温度変化の時系列に沿って細胞質に局在変化し、それに伴ってmRNAに機能転換して翻訳されるようになる新たな現象を見出した。本研究では、このlncRNAからmRNAへの機能転換機構を理解するために、その要となるlncRNAの核から細胞質への局在変化の分子機構を解明し、それが温度変化の時系列に沿ってどのように制御されているかを明らかにする。
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研究成果の概要 |
細胞核内で確固としたlncRNA機能を持つHSATIII RNAが、温度変化の時系列に沿って細胞質に局在変化し、mRNAに機能転換する過程を解析した。RNA核外輸送については、時間経過に伴ってHSATIII RNA結合タンパク質が再構築され、核外輸送因子ALY/REFが結合することを見出した。この再構築はHSATIIIの「るつぼ」や「スポンジ」機能によって促進されることが示唆された。次に、翻訳産物のHSATIIIポリペプチドの相互作用因子としてストレス顆粒因子やシャペロンを検出した。さらに翻訳産物がこれらの相互作用因子と共に細胞先端部分のアクチン重合部位に共局在することを確認した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究によって、核から細胞質へのRNAの局在変化機構について、相分離構造体でのRNA機能が結合因子の再構築を促し、結果的に核外輸送因子を呼び込んでRNAを細胞質に輸送させるという流れが明らかになった。一方で、細胞質での翻訳産物の相互作用因子と細胞内局在が明らかになったことによって、機能転換したmRNAが機能的なポリペプチドを産生していることが示唆された。これによって、lncRNAからmRNAへの機能変換の全体像を把握し、前例のないRNAの複雑な一生を明らかにする道筋を整備できた。今後、このポリペプチド機能の解明によって、ストレス応答や関係する疾患の新たな機構解明につながる可能性が期待できる。
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