研究課題/領域番号 |
22K19299
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分43:分子レベルから細胞レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤原 慶 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (20580989)
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研究分担者 |
茂木 文夫 北海道大学, 遺伝子病制御研究所, 教授 (10360653)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ソフトマター / 反応拡散系 / 細胞サイズ空間 / 人工細胞 / 細胞極性 / 合成生物学 / 分子配置 |
研究開始時の研究の概要 |
化学反応と局所的な分子拡散の共役(反応拡散共役)によって創発される分子集合体の自発的なパターンは、細胞内の分子の時空間情報の形成を担う。反応拡散共役により形成されるパターンは動的なもののほかにチューリングパターン(TP)として知られる静的なものがあるが、理論・実験的な証拠が集まってきたものの、細胞のような小さな空間で本当にTPが形成されるかは明らかでない。そこで本研究では、人工的に反応ネットワークを構築した系と、細胞の中でTPを形成することが示唆されている系を人工細胞内で再構成し、細胞サイズの空間でTPが形成可能か、可能であればどのような条件であるかを探る。
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研究実績の概要 |
化学反応と分子拡散の共役(反応拡散共役)によって出現するチューリングパターン(TPs)は、動物の縞模様のように細胞間相互作用で出現する現象を説明可能だが、最新研究において細胞内の分子配置にも重要である証拠が集まってきている。もし細胞の分子配置をTPsが決めていることが証明されれば、分子配置メカニズムにおける生命科学の視点は大きく転換する。そこで本研究では、人工細胞内再構成系と精製された要素を利用し、細胞サイズの空間でTPsが形成可能な条件を解明することを目的としている。 2022年度までに、バクテリアのMin波を改変することでチューリングパターンとみなせる非平衡定常構造の創成に成功した。本成果に関しては2023年度に様々な学会・研究会で成果報告を行った。この成果は、細胞の分子配置をTPsが決めていることの1つの証明となった。また、2023年度は初期胚にみられるTP様の構造であるPAR系の再構成に挑戦した。PARを構成するのに不可欠と考えられている5つの因子を発現精製するために、大腸菌発現、大腸菌抽出液を用いた無細胞転写翻訳系、精製要素からなる無細胞転写翻訳系、小麦胚芽抽出液を用いた無細胞転写翻訳系を試したところ、全長タンパク質の合成可能な条件を発見した。そこで、精製タグの種類や位置、可溶性を検討したところ、1つの要素を除き、発現精製系がほぼ完成した。残された1つに関しては可溶性が著しく低いため、不溶性画分からのリフォールディングや発現条件の最適化を検討する必要が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初設定したバクテリアのMin波を改変することでチューリングパターンとPAR系の再構成のうち、バクテリアのMin波を改変はほぼ完成した。PAR系に関しては要素の調製にいくつかの困難があったが、おおむね克服した。研究自体は非常に順調であるが、当初想定していた2年間では終わらなかったために、計画を延長した。
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今後の研究の推進方策 |
Min波を改変してつくられたチューリングパターンについて、論文にまとめ報告する。PAR系に関しては、残された1つの要素を精製し、パターン形成条件を確認する。また、Min波の改変系材料を迅速に得るために、無細胞転写翻訳系を最適化する。
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