研究課題/領域番号 |
22K19304
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
末次 憲之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (60514156)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 光受容体 / フォトトロピン / フィトクロム / ゼニゴケ / 光遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
光スイッチタンパク質を用いた光操作技術は、遺伝子発現、タンパク質の活性や局在変化など、様々な生命現象の光操作を可能にし、動物や微生物における研究分野で強力な研究ツールとなっている。光操作技術に用いられる各種の光受容体は、植物由来であるにも関わらず、植物科学ではこれらが活用されていない。本提案では、植物の細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たすタンパク質のリン酸化に注目し、申請者らが発見した赤色光/遠赤色光可逆的タンパク質キナーゼであるネオクロム(Suetsugu et al., PNAS, 2005)を用いて、植物のタンパク質リン酸化シグナリング機構の解析を目的とする。
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研究実績の概要 |
光スイッチタンパク質を用いた光操作技術は、遺伝子発現、タンパク質の活性や局在変化など、様々な生命現象の光操作を可能にし、動物や微生物における研究分野で強力な研究ツールとなっている。光操作技術に用いられる各種の光受容体は、植物由来であるにも関わらず、植物科学ではこれらが活用されていない。本提案では、植物の細胞内シグナル伝達において重要な役割を果たすタンパク質のリン酸化に注目し、申請者らが発見した赤色光/遠赤色光可逆的タンパク質キナーゼであるネオクロム(Suetsugu et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2005)を用いて、(1)植物のタンパク質リン酸化を介したシグナル伝達機構解明のための新規光操作技術の開発、および(2)その技術を用いた植物シグナリング機構の解析を目的とする。本申請における植物AGCキナーゼを用いたネオキナーゼの開発は、植物における光操作ツール開拓に向けた挑戦的研究であると言える。 本年度は、ネオキナーゼのゼニゴケにおけるアッセイ系の確立のため、ゼニゴケの野生型あるいはフォトトロピン変異体にネオクロム(蛍光タンパク質のタグ付きとタグなし)を導入した。野生型やフォトトロピン変異体では赤色光により葉緑体運動や光屈性は誘導されないので、これらの反応がネオクロム形質転換体で誘導されれば、ネオクロムの光受容ドメインの最適化(例えば光感受性や光可逆性の増強、サイズの減少など)のアッセイ系が確立できる。また、ネオクロムのキナーゼドメインをPKA の触媒サブユニットのキナーゼドメインと入れ替えたPKA ネオキナーゼの作製も行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ネオクロムの形質転換体の選抜が順調で、現在予備実験的に赤色光で葉緑体運動や光屈性が起きるかを検証中であるため。また、PKAネオキナーゼに関しては、ようやくゼニゴケPKAの精子の運動制御における機能があきらかになったので、(Yamamoto et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2024)、PKAネオキナーゼの評価をするためのアッセイ系の目処がついたため。
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今後の研究の推進方策 |
ネオクロム形質転換体で赤色光による葉緑体運動や光屈性が誘導できれば、ネオクロムの光受容ドメインに変異あるいは欠失を導入したラインを作製し、ネオクロムの光受容ドメインの最適化を目指す。PKA ネオキナーゼもゼニゴケへの形質転換の段階に入っているので、PKA ネオキナーゼ形質転換体における精子の運動性を調べる予定である。
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