研究課題/領域番号 |
22K19307
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
中村 佐千枝 (平塚佐千枝) 信州大学, 学術研究院医学系, 教授 (60313087)
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研究分担者 |
富田 毅 信州大学, 学術研究院医学系, 准教授 (20302242)
加藤 真良 信州大学, 学術研究院医学系, 助教 (70402104)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | メッセンジャ-RNA / RNA結合受容体 / 細胞外RNA |
研究開始時の研究の概要 |
メッセンジャーRNA(mRNA)はDNAから遺伝情報を運搬する分子であり、その情報は塩基配列に記されている。申請者はIL1βなどの一部のmRNAが細胞外(エクソソーム外)で情報伝達物質として機能し、非翻訳領域(3‘UTR)の配列特異的にマウス免疫細胞の抗がん活性を向上させているという現象を発見した。本研究では、ヒト血管内皮細胞において、細胞外mRNAの受容体とその分子シグナリングを明らかにすることを目指す。具体的には、インビトロ合成によって作成したIL1βのRNAを磁気ビーズ上に結合させ、培養細胞抽出液と混合することにより細胞外RNA受容体の捕捉・同定を試みる。
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研究実績の概要 |
メッセンジャーRNA(mRNA)はDNAから遺伝情報を運搬する分子であり、その情報は塩基配列に記されている。申請者はがん転移研究に取り組む中で、IL1βなどの一部のmRNAが細胞外(エクソソーム外)で情報伝達物質として機能し、非翻訳領域(3‘UTR)の配列特異的にマウス免疫細胞の抗がん活性を向上させているという現象を発見した。申請者はこの現象が免疫系細胞だけでなく、ヒト接着系細胞でも見られるという予備的な成果を得た。またmRNAのなかでも取り込まれやすいものとそうでないものがあること、および、取り込まれたmRNAは細胞の翻訳システムとは無関係に機能していることが明らかとなった。そこで本研究では、この現象が広く哺乳動物細胞に見られる普遍的なものであるのか、その共通性や多様性を明らかにするために、接着細胞などにおいて、細胞外mRNAの受容体とその分子シグナリングを明らかにすることとした。 予備実験によると、接着系細胞ではマウス免疫細胞とは異なる分子が細胞外mRNAの取り込みを行っていることが分かってきた。そこで、ヒト上皮細胞における細胞外mRNA受容体の同定を生化学的手法により行った。確実な候補リガンドの同定も、同時に解析を開始しているため、候補RNAを蛍光ラベルし、取り込んだ細胞と、取り込まなかった細胞の発現解析を行い比較した。すでにいくつかの候補受容体が得られ、それぞれについて受容体発現細胞の樹立を行った。これらの発現細胞を用いて、取り込み受容体を解析をすすめている最中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初代培養細胞における細胞外mRNA受容体の同定を生化学的手法(プルダウンーLC/MS)により行う予定であった。プルダウンは候補mRNAを磁気ビーズに固定したものを上皮細胞抽出液に混合する予定であったが、得られたサンプルの量の問題で、初代培養細胞で十分な結果が得られないことも想定され、株化された細胞を用いる方向での実験を進めた。候補遺伝子が複数得られている。
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今後の研究の推進方策 |
様々な細胞において、mRNAを取り込んだときに引き起こされる分子シグナリングを解析する。mRNAを取り込んだときの細胞質内での反応を、RNA-seqなどを用いて、遺伝子発現解析をおこなう。核内での反応をモニターするため、取り込まれたmRNAの局在を明らかにする。続いて新規受容体分子の抗体染色を行い、受容体分子の細胞内局在とそのRNA取り込みによる変化についても調べる。免疫細胞については、mRNAの取り込みがもたらすシグナル伝達の解析が進みつつあり、従来のタンパク質リガンドとは異なった経路も存在する結果を得ているので、上皮細胞においても細胞内反応経路の検討をする予定である。
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