研究課題/領域番号 |
22K19319
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究 |
研究代表者 |
榎木 亮介 大学共同利用機関法人自然科学研究機構(新分野創成センター、アストロバイオロジーセンター、生命創成探究, 生命創成探究センター, 准教授 (00528341)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 概日時計 / カルシウム / オルガネラ / 光イメージング / 細胞核 / ミトコンドリア / 概日リズム / イメージング / 視交叉上核 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類には約24時間のリズムを刻む概日時計が備わっており、その中枢は視床下部にある視交叉上核に局在する。これまでに私は、視交叉上核の神経回路における時空間的に協調した概日Ca2+リズムを発見し、その作動機序を探究してきた。予期しなかったことに、視交叉上核の細胞質で見られる概日Ca2+リズムは、典型的な神経細胞とは全く異なるCa2+動態を示した。さらには時計遺伝子の欠損細胞においても概日Ca2+リズムが観察されたことから、概日Ca2+リズムは中心的な概日振動体である可能性がある。本研究では光計測技術を駆使して細胞局所Ca2+を行い、概日Ca2+リズムの源流を突き止める。
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研究実績の概要 |
哺乳類には約24時間のリズムを刻む概日時計が備わっており、その中枢は脳深部の視床下部にある視交叉上核に局在する。これまでに私は、視交叉上核の神経回路における時空間的に協調した概日Ca2+リズムを発見し、その作動機序を探究してきた。予期しなかったことに、視交叉上核の細胞質で見られる概日Ca2+リズムは、大脳皮質や海馬など教科書的に示されている神経細胞とは異なるCa2+動態を示すことが分かってきた。さらには時計遺伝子の欠損細胞においても概日Ca2+リズムが観察されたことから、概日Ca2+リズムは中心的な概日振動体である可能性もある。本研究では光計測技術を駆使して細胞局所Ca2+を行うことで、概日Ca2+リズムの源流を突き止める。本実験では、マウス視交叉上核の培養スライスを作成し、アデノ随伴ウイルスを用いて種々の遺伝子コード型Ca2+センサーを神経細胞特異的に発現させ、長期タイムラプスシステムを用いて数日~週の長期間の光イメージング計測を行う。特に本研究では、蛍光Ca2+センサーに特異的輸送シグナルを付与して細胞内オルガネラに局所発現させ、細胞質Caリズムとの同時多色イメージング計測を行う。これまでの実験により細胞内の幾つかのオルガネラにおいても概日リズムが存在することを見いだしており、本研究では多色光イメージング計測を基軸に、各種チャネル阻害薬の薬理実験などを用いてその作動原理に迫る。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでの先行実験により、細胞内の微小構造体内(核/小胞体/ミトコンドリア)でも概日Ca2+リズムが存在することを見いだし、特にミトコンドリアの概日リズムは、これまで細胞質で見られていた概日Ca2+リズムとは約12時間の逆位相パターンを示した。近年、ミトコンドリアは小胞体と接触領域を介してCa2+が行き来することが報告されており、視交叉上核においても細胞内小器官ネットワークを形成して概日Ca2+リズムを制御する可能性がある。特に最近、ミトコンドリア内膜のCa2+/H+ 交換輸送体(LETM1)が概日Ca2+リズム発振に寄与することが報告されたことも勘案するに、ミトコンドリアが概日Ca2+リズムの発振源である可能性がある。
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今後の研究の推進方策 |
核内で観察される概日Ca2+リズムが、細胞質から核膜孔を介した受動的な流入によるものか、核内に独立に制御される機構があるかを、核-細胞質の同時イメージング計測および薬理実験により検証する。またミトコンドリア内で見られる概日リズムがCa2+由来であることの確証を得るため、pH耐性の蛍光タンパク質やCa2+プローブを用いた計測を試みる。現在これらの蛍光タンパク質を発現させるためのアデノ随伴ウイルスを作成中である。
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