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現代人はネコの脂質代謝を模倣して高コレステロール血症を克服できるか?

研究課題

研究課題/領域番号 22K19321
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
研究機関岩手大学

研究代表者

宮崎 雅雄  岩手大学, 農学部, 教授 (20392144)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワードネコ / コレステロール / メバロン酸経路 / 代謝 / 高コレステロール血症 / アミノ酸 / フェリニン / トランスジェニックマウス
研究開始時の研究の概要

完全肉食に進化したネコは、高脂肪食を毎日食べ続けても高コレステロール血症にならず健康を保持できる。申請者は先行研究でコレステロール生合成を抑制する新規代謝経路を発見した。これはコレステロールの原料をフェリニンというアミノ酸に代謝して尿に排泄する経路であり、ネコはフェリニン生成量を増やすことでコレステロール生成量を抑制して高コレステロール血症を防いでいた。本研究ではなぜネコだけコレステロール生合成の原料を積極的にフェリニンに代謝できるのか、分子機構の解明に挑み、ネコ以外の動物でもコレステロールの原料の大部分をフェリニンとして尿に排泄すれば高コレステロール血症を防げるか検証する。

研究実績の概要

「完全肉食に進化したネコは、ヒトで問題になるような高脂肪食を毎日食べ続けても高コレステロール血症にならず健康でいられる。これは、これまで他の動物で見逃されていたコレステロール生合成を抑制する新たな脂質代謝経路をネコが機能させることができるためだと先行研究で突き止めた。具体的にはコレステロール生合成の原料であるバロン酸経路の代謝物をフェリニンというアミノ酸に変換して尿に排泄する経路である。これにより、ネコはコレステロール生成量を著しく減少させ、高コレステロール血症を防いでいることが分かった。またヒトやマウスもフェリニン代謝物を微量だが尿に排泄していることが分かり、ネコ以外の動物でもフェリニン経路が僅かに機能していることが判明した。そこで薬剤投与や遺伝子治療でヒトがネコの脂質代謝を模倣できれば、肉食文化の進んだ現代人でも高コレステロール血症を克服できる可能性があると考えるに至った。本研究ではなぜネコがコレステロール生合成の原料を積極的にフェリニンに代謝できるのか、その分子機構の解明に挑み、ネコ以外の動物でもコレステロールの原料の大部分をフェリニンとして尿に排泄すれば高脂肪食の摂取を続けても高コレステロール血症が防げるか、フェリニン生合成を亢進させたネコ型マウスを作成して検証することを目的としている。
今年度は、前年度に引き続きフェリニン経路を亢進させる分子メカニズムの特定に取り組み、コレステロール生合成酵素の一つがネコでだけ低発現していることに着目して研究を進めた。MDCK細胞でこの酵素の発現をRNAiで抑制すると、フェリニン前駆体の生成量が顕著に増加することが分かった。またこの酵素の阻害剤をマウスに投薬するとフェリニン代謝物量が激増するが、ネコで同じ処置を施しても変化ないことが分かった。以上の結果より、フェリニン経路の亢進にこの酵素の低発現が重要であることが判明した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

フェリニン経路を亢進させるために必要なのが、あるコレステロール生合成遺伝子の低発現ということが分かったから。

今後の研究の推進方策

まず、なぜネコでのみコレステロール生合成酵素の発現量が低いのか、プロモーター領域を特定して、ネコ、イヌ、ヒト、マウス間でプロモーター活性の違いも明らかにする。またフェリニン経路を亢進させる遺伝子を全身あるいは肝臓特異的に高発現するトランスジェニックマウスを作成し、尿中フェリニン代謝物排泄量が増加するか検証する。ネコ型マウスが作成できたら高脂肪食の給餌を続け、血中コレステロール値を調べ、高コレステロール血症を予防できるか検証する。また高脂血症を示す様々な疾患モデルマウスと交配させて新たな遺伝子改変マウスを作成し、フェリニン経路亢進がどのような病気の治療に有効であるか、個体レベルで検証する。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (7件)

すべて 2023 2022 その他

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] A comparative profile of urinary scent signals of two endangered Japanese populations of leopard cat2023

    • 著者名/発表者名
      Ichizawa Shota、Uenoyama Reiko、Nakanishi Nozomi、Endo Yasuyuki、Suka Ayaka、Izawa Masako、Miyazaki Masao
    • 雑誌名

      Frontiers in Ecology and Evolution

      巻: 11 ページ: 01-11

    • DOI

      10.3389/fevo.2023.1194611

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 亜種どうしで異なる尿臭-イリオモテヤマネコとツシマヤマネコ2023

    • 著者名/発表者名
      市沢翔太, 上野山怜子, 宮崎雅雄
    • 雑誌名

      科学

      巻: 94 ページ: 193-198

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [雑誌論文] ネコ特異な生理と行動2022

    • 著者名/発表者名
      宮崎雅雄、上野山怜子
    • 雑誌名

      動物心理学研究

      巻: 72 号: 2 ページ: 39-44

    • DOI

      10.2502/janip.72.2.2

    • ISSN
      0916-8419, 1880-9022
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] ネコのコレステロール生合成抑制機構亢進に関わる遺伝子の探索2023

    • 著者名/発表者名
      須賀絢香、市沢 翔太、上野山 怜子、岸田 拓士、宮崎 雅雄
    • 学会等名
      日本生化学会東北支部 第89回例会・シンポジウム
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ネコ特異な尿臭の原因となる硫黄化合物生産経路の全容解明2023

    • 著者名/発表者名
      須賀絢香、市沢 翔太、上野山 怜子、岸田 拓士、宮崎 雅雄
    • 学会等名
      日本味と匂学会第57回大会
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
  • [学会発表] ネコ特異な生理と行動2022

    • 著者名/発表者名
      宮崎雅雄、上野山怜子
    • 学会等名
      日本動物心理学会第82回大会公開シンポジウム
    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書
    • 招待講演
  • [備考] 岩手大学 分子生体機能学研究室

    • URL

      https://www.iwate-biomolecular.net/

    • 関連する報告書
      2022 実施状況報告書

URL: 

公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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