研究課題/領域番号 |
22K19322
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大隅 典子 東北大学, 医学系研究科, 教授 (00220343)
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研究分担者 |
稲田 仁 東北大学, 医工学研究科, 特任准教授 (60419893)
吉川 貴子 東北大学, 医学系研究科, 助教 (90727851)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 精子形成 / 性比 / フェロトーシス / Pax6 / 加齢 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究はマウスをモデルとし、「加齢により精子形成過程においてX染色体を有する精子細胞がより細胞死を起こしやすくなり、生まれる仔マウスの性比が偏る」という仮説を検証する。精母細胞の減数分裂期に活性酸素種によりDNA損傷が生じ、サイズの大きいX染色体のダメージの方がY染色体より重篤なために、有X染色体精子細胞が選択的にフェロトーシスを生じることが考えられる。また、クロマチンリモデリング因子として種々の分子をリクルートしうるPax6の下流因子に損傷応答・修復促進因子が含まれること、Pax6の発現が加齢により減弱することから、Pax6は抗加齢因子として損傷応答・修復促進に作用する可能性がある。
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研究実績の概要 |
本研究はマウスをモデルとし、「加齢により精子形成過程においてX染色体を有する精子細胞がより細胞死を起こしやすくなり、生まれる仔マウスの性比が偏る」という仮説の検証を目的として行った。前年度において、若齢および高齢マウスの精巣の切片上で、減数分裂直後の円形精子細胞の数を定量し、若齢野生型、若齢Pax6ハプロ変異、高齢野生型、若齢Pax6ハプロ変異の順で円形精子細胞数が減少していること、またY染色体精子とX染色体精子の割合がこの順で逆に高くなることを確認し、精細管周囲に存在する精祖細胞・精母細胞で認められる細胞死はアポトーシスであるのに対し、高齢マウスの精巣では円形精子細胞の非アポトーシス細胞死が認められることを見出していた。さらに、細胞損傷マーカーであるγH2A.Xの発現が加齢により上昇することと、抗フェロトーシスに関わるGPX4の発現は逆に減少することを確認した。以上のように、精子形成過程においてフェロトーシスが円形精子細胞の減少に関わることが確かめられたことを受け、R5年度は、フェロトーシスの阻害剤として知られるビタミンEを飼料から添加または除去することによって、フェロトーシスを調節する実験を確立した。精子形成サイクル2回分に相当する約2ヶ月間、野生型マウスに、対照食、ビタミンE欠乏食、ビタミンE添加食を与えた。これらの体重、精巣重量、性腺体格指数(精巣対体重比)に変化は見られなかった。しかしながら、精子形成には影響がみられ、精子形成細胞(分化型精祖細胞、精母細胞、円形精子細胞)の数が減少していた。現在、精巣のマクロ形態学的変化を研究しており、フェロトーシスに関連する事象を調べている他、in vivoでのフェロトーシスの可視化に役立ついくつかの実験の準備を行っている。以上のように、本研究は予想以上の成果を挙げることができ、最終年度における研究進捗は滞りなく進行した。
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