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細胞の抱き込み形態を制御するメカニズムの解明と操作

研究課題

研究課題/領域番号 22K19331
研究種目

挑戦的研究(萌芽)

配分区分基金
審査区分 中区分44:細胞レベルから個体レベルの生物学およびその関連分野
研究機関神戸大学

研究代表者

富樫 英  神戸大学, バイオシグナル総合研究センター, 研究員 (90415240)

研究期間 (年度) 2022-06-30 – 2025-03-31
研究課題ステータス 交付 (2023年度)
配分額 *注記
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
キーワード細胞間接着 / 嗅上皮 / 形態形成 / 細胞骨格
研究開始時の研究の概要

多様な細胞からつくられる組織・器官では、機能に応じた細胞形態が使い分けられている。これらの中で、上皮組織では細胞は隣接する細胞との接着を常に維持しながら、それぞれの機能に応じた細胞形態をとらなければならない。本研究では、接着という拘束を受けながら特殊な細胞形態をとる嗅上皮をモデルに、非対称な張力分布によって「抱き込み」と呼ばれる特殊な細胞形態が制御されるメカニズムを考え、これを検証する。さらに、細胞間の張力を制御することにより細胞の抱き込み形態を操作する技術の開発を目指す。

研究実績の概要

本研究では、接着という拘束を受けながら特殊な細胞形態をとる嗅上皮をモデルに、非対称な張力分布によって「抱き込み」と呼ばれる特殊な細胞形態が制御されるメカニズムを考え、これを検証する。さらに、細胞間の張力を制御することにより細胞の抱き込み形態を操作する技術の開発を目指す。
本年度は、細胞の抱き込みの際に働く細胞骨格が嗅上皮組織の頂端部側の細胞間接着(AJ)に局在して働くことから、AJとその裏打ちとなる細胞骨格の上皮細胞の頂端側に集積するメカニズムに着目して検討を行った。これまでにAJの裏打ちとして働くアファディンの変異によって、AJが頂端側に正常に形成されないことを見出して、必要なドメインと分子間相互作用の検討を行った。その結果、アファディン自身のC末端領域がAJを頂端側に形成するために重要であることを見出した。アファディンは細胞間接着において張力に応答して局在の制御に働く事も知られており、現在、検討中である。
さらに嗅上皮の組織培養を用いてミオシンの収縮力を操作した場合、抱き込みの誘導と阻害が誘導できることがわかった。現時点では、この際の接着分子等の局在についてはまだ不明である。しかし、嗅上皮組織の2細胞間に局在するアクチンおよびミオシンの非対称な局在についてもイメージング技術の改善によって明らかになってきたことから、抱き込みの誘導の際に、接着分子と裏打ち分子、さらに細胞骨格の分布について検討を進めている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本年度見出した上皮細胞の頂端側にAJが形成される分子メカニズムは、上皮細胞シートが変形を介して多様な組織形態をつくり出す際の基本原理として働くと考えられる。アファディンに着目したAJ局在制御のメカニズムが明らかになったことで、嗅上皮の形態形成において注目すべき点が明確になり、今後、アファディンを介した細胞骨格と細胞間接着の連携に着目することで嗅上皮の形態形成機構についての解析が進んでいくと考えられる。また、イメージング技術の改善によって嗅上皮組織における細胞骨格の微細な分布パターンの解析が進んだ点も今後の研究の発展につながる。

今後の研究の推進方策

本年度の研究により明らかになった細胞レベルの知見を、嗅上皮組織に適用し抱き込みのメカニズムについてさらなる検討を進める。アファディンを介してAJが頂端側に形成された後、抱き込みに働く細胞骨格等と連携メカニズムについて検討する。また、抱き込みの際に見られる2細胞間の細胞骨格の非対称な分布がどのようにつくられ、細胞の陥入に働くのか、そのきっかけとなるメカニズムについても検討を行うことで、数理モデルでは不明であった非対称な張力をうみだす分子メカニズムについて検討を行い、数理モデルに取り込むことで、抱き込み過程のメカニズムの理解を目指す。

報告書

(2件)
  • 2023 実施状況報告書
  • 2022 実施状況報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) (うち国際共著 1件、 査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 3件、 招待講演 4件)

  • [雑誌論文] From soap bubbles to multicellular organisms: Unraveling the role of cell adhesion and physical constraints in tile pattern formation and tissue morphogenesis2024

    • 著者名/発表者名
      H. Togashi, S. R. Davis, M. Sato
    • 雑誌名

      Developmental Biology

      巻: 506 ページ: 1-6

    • DOI

      10.1016/j.ydbio.2023.11.007

    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [学会発表] Intrinsically disordered regions (IDR) of Afadin regulate junctional compartment formation and positioning of adherens junctions.2024

    • 著者名/発表者名
      Hideru Togashi
    • 学会等名
      JST PRESTO International Symposium
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] Unraveling the Dynamics of Cellular Patterning in Animal Tissues: Insights from Self-Organizing Principles2024

    • 著者名/発表者名
      Hideru Togashi
    • 学会等名
      Institute of Physics, Academia Sinica, Taipei
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] The Mosaic Pattern of Sensory Epithelium is Essential for Sensory Function2023

    • 著者名/発表者名
      Hideru Togashi
    • 学会等名
      Biwako workshop on mathematical biology
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 接着の偏在によるモザイク形成メカニズム2023

    • 著者名/発表者名
      富樫英
    • 学会等名
      第7回さきがけ「多細胞」領域会議
    • 関連する報告書
      2023 実施状況報告書
    • 招待講演

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公開日: 2022-07-05   更新日: 2024-12-25  

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