研究課題/領域番号 |
22K19347
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
衣笠 利彦 鳥取大学, 農学部, 准教授 (80403377)
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研究分担者 |
及川 真平 茨城大学, 理工学研究科(理学野), 准教授 (90400308)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 種子 / 翼果 / 堅果 / 液果 / 資源分配 / 繁殖 / 窒素 / 燃焼熱 / エネルギーコスト / 種子付属体 / 散布 / 防御 |
研究開始時の研究の概要 |
生産に高いエネルギーコストが必要な種子を持つ植物は、種子の散布や防御にも高いエネルギーコストを費やしているのではないだろうか? 種子には、クルミの殻やカエデ類の翼など、種子の防御や散布のための構造(以後「種子付属体」)が付属する。種子付属体のこのような生態学的意義は広く知られているが、その形成に必要なコストはほとんど分かっていない。そこで国内に自生する植物から広く種子と種子付属体を採集し、そのエネルギーコスト(燃焼熱)と主要な構成成分の量を測定する。繁殖への資源投資戦略において種子付属体への投資が占める重要性を、エネルギーコストの観点から明らかにする。
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研究実績の概要 |
クルミの殻やカエデ類の翼といった、種子の防御や散布のための付属的構造(以後「種子付属体」)の生産コストを評価し、種子/付属体への資源投資戦略の種間差を解明することを目的とした。特に、種子/付属体への資源投資戦略の種間差に、種による種子の構成コストの違いや付属体の機能の違いが関わっているかどうか検証を試みる。生産コストは、バイオマスだけでなく、窒素量や構成コスト(燃焼熱)で評価する。これにより、繁殖への資源投資戦略における種子付属体への投資の重要性を解明する。 2023年は、研究分担者と分担し、4種の木本種の果実(種子および種子付属体)を新たに採取した。これにより合計31種の木本種のサンプルが入手できた。内訳は液果13種、堅果8種、翼果10種である。採取したサンプルを部位毎に分け、窒素量と燃焼熱測定のために粉砕した。粉砕の後、窒素測定を行い2023年度中に8種の測定を完了した。この8種の測定結果からは、予想に反して堅果の種子窒素濃度が低く、それらに比べて翼果や液果の種子窒素濃度が高いことが分かった。ただしこの傾向が一般的なのかどうかを議論するには測定種数が少なく、残り23種の測定結果が待たれるところである。燃焼熱測定については、使用するカロリーメーターが故障したため5種の測定に止まった。カロリーメーターの修理は2023年度末に完了し、現在は稼働を始めている。 2024年は採取した全ての種について窒素量、燃焼熱、灰分量の測定を完了し、種子/付属体への資源投資戦略についてエネルギーコストの面から分析を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2023年は4種の植物サンプリングを行い、バイオマス測定を行った。これによって合計31種のサンプルを確保でき、資源投資戦略の種間差を解明するのに十分なサンプルを揃えることができた。2023年度はこれらのサンプルの粉砕を完了し、窒素量および燃焼熱の測定準備を行った。その後、窒素量と燃焼熱の測定を順次開始し、2023年度中に窒素量は8種、燃焼熱は5種の測定を完了した。しかし燃焼熱測定のためのカロリーメーターの調子が思わしくなく、修理を繰り返したため測定数を増やすことができなかった。2023年度末に修理が完了したため、現在は稼働を始めている。以上から2023年の進捗状況は遅れていると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年は、これまでにサンプリングした31種の木本種の窒素量、燃焼熱、灰分量の測定を行い、種子と種子付属体の生産コストを定量する。さらに種子と種子付属体の生産コストの間に、種を超えて何らかの関係があるかどうか解析する。現在利用しているカロリーメーター(茨城大学設置)の調子が不安定なため、もし不調となり修理が必要となった場合は、鳥取大学の分析センター設置の熱量計もしくは外部委託分析の利用も検討する。
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