研究課題/領域番号 |
22K19350
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分45:個体レベルから集団レベルの生物学と人類学およびその関連分野
|
研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
角田 智詞 福井県立大学, 生物資源学部, 准教授 (30747936)
|
研究分担者 |
坂田 ゆず 秋田県立大学, 生物資源科学部, 助教 (50779759)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2024年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
|
キーワード | 植物-微生物-昆虫相互作用 / からし油配糖体 / 誘導防御応答 / 根の防御 |
研究開始時の研究の概要 |
アブラナ科が持つ二次代謝産物・グルコシノレート(からし油配糖体、以下GSLとする)の特徴が異なるシロイヌナズナ変異体を材料としたポット試験を行う。材料とするのは、脂肪族GSLを生合成しないmybと、インドールGSLを生合成しないcypとQKO、インドールGSLを過剰に蓄積した atr1D、コントロールとするColである。脂肪族GSLは昆虫に対して、インドールGSLは真菌に対して抵抗性を示す。このため、変異体により相互作用する生物が異なったり、防御応答が異なったりしうる。この特徴を利用し、植物を介した微生物-昆虫間相互作用や、地上部-地下部相互作用を解析する。
|
研究実績の概要 |
ラナ科植物のシロイヌナズナ (Arabidopsis thaliana)野生株Col-0、根の共生菌であるトライコデルマ(Trichoderma harzianum T-22)、根食昆虫であるドウガネブイブイ(Anomala cuprea)幼虫の3種を生物材料とし、共生菌の有無、幼虫の有無を二要因とする栽培実験を行った。一定期間栽培したのちに植物を刈り取り、バイオマスと組織 中のGSL濃度を測定した。 実験1では、ドウガネブイブイ幼虫により地下部バイオマスが減少し、トライコデルマの定着により地上部バイオマスが増加した。この ことから、先行研究と同様に、植物に対してドウガネブイブイは負の効果を、トライコデルマは正の効果を与えることを確認できた。 実験2では、GSL生合成変異株であるcyp (インドールGSLを生合成しない)、QKO(脂肪族GSLとインドールGSLの両方を生合成しない)、atr1D(インドールGSLを過 剰蓄積する)を用いた栽培実験を行い、GSLが種間相互作用に及ぼす影響と、その結果としての植物の成長の変化を評価した。実験2では、操作ミスにより、共生菌のみの条件と幼虫のみの条件は結果を得られなかった。しかし、Col-0のトライコデルマと根食双方を与えた条件では、食害により地下部バイオマスは減少せず、根のGSL濃度は増加していた。また、インドールGSLを過剰蓄積するatr1DではGSL濃度がCol-0の約2~5倍高かったが、TH条件では共生菌による成長促進効果も、幼虫による食害も受けていなかった。 これら部分的にポジティブな結果に再現性が見られるか検討する栽培実験を2024年度に新たに実施予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
栽培実験を行い、一部ポジティブな結果を得られたため。
|
今後の研究の推進方策 |
2023年度に行った実験のサンプルについて、二次代謝産物の定量実験を進める。根圏微生物として、トライコデルマだけでなくバクテリアも実験要因とした栽培実験を新たに行い、二次代謝産物グルコシノレートが根圏における種間相互作用にはたす役割の解析を予定通り進める。
|