研究課題/領域番号 |
22K19368
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
青木 重樹 千葉大学, 大学院薬学研究院, 講師 (30728366)
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研究分担者 |
梅澤 啓太郎 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究員 (30505764)
水野 忠快 東京大学, 大学院薬学系研究科(薬学部), 助教 (90736050)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | がんヘテロジェナイティ / 分子標的薬 / 代謝リプログラミング / ミトコンドリア / チロシンキナーゼ阻害薬 / がん / 細胞間コミュニケーション / 治療抵抗性 |
研究開始時の研究の概要 |
がんの分子標的薬は副作用が少なく劇的な治療成績を収めているのは事実だが、多くの症例において1年以内に耐性を獲得する。耐性化の原因として、腫瘍内の不均一性が挙げられ、特に、初期治療に抵抗性を示す“寛容性”の細胞が後天的に耐性を獲得することが問題と考えている。また、寛容性細胞を中心に腫瘍全体が抵抗性を示すことを見出しており、そのような集団形成ががんの治療抵抗性を生んでいると思われる。本研究では、いかに治療抵抗性のがん細胞集団が形成されていくかを数理的な解析も交えて明らかとすることを目的とし、次世代のがん治療戦略へ繋げる。
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研究実績の概要 |
がん分子標的薬は、副作用が少なく劇的な治療成績を収めている一方で、多くの症例で1年 以内に耐性を獲得する問題がある。耐性化の原因は腫瘍内不均一性にあると考えられてお り、近年初期治療に対して抵抗性を示す“寛容性細胞”が治療に伴って遺伝子変異を獲得 し耐性化するという概念が提唱されている。しかし、その寛容性細胞の実態はあまり明確にされておらず、どのような生存戦略を獲得しているのかも不透明である。そこで本年は、寛容性細胞の特性解析やそれらに対する治療戦略を、肺がん細胞を用いて検討した。 EGFR変異陽性の非小細胞性肺がんを限界希釈法によりクローン化し、それらに対するオシメルチニブへの感受性を調べたところ、感受性に差があることが分かり、それが継代等の影響は受けず、クローン内で維持されたものであることが示唆された。つまり、元の細胞集団は、そのようなクローンが寄り集まってできたものであると考えられる。また、その低感受性細胞株がもつオシメルチニブに対する生存戦略を調べるべく、オミクス解析等を行ったところ、グルタミン代謝系が亢進していることが示唆された。それを反映するように、オシメルチニブに対して抵抗性を示すような細胞群では、ミトコンドリア膜電位の亢進も認められており、ATP産生システムを解糖系からスイッチしていると考えている。その中でも、特定のタンパク質に着目してそこに対する阻害剤を曝露したところ、奇麗にオシメルチニブ耐性細胞群を死滅させられる可能性が認められ、阻害標的と考えている下流の代謝産物を補充することでそれら細胞の死滅はキャンセルされた。ゆえに、それら抵抗性を示すクローンは、そういった代謝系を亢進させるポテンシャルを有しており、治療寛容性を持つのではないかと考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
がん細胞集団がヘテロであることをクローン化により示すことができ、特にEGFR変異陽性非小細胞性肺がんに対して、治療抵抗性クローンの特性や治療ターゲットの明確化など行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
それらクローンがどのように協調して集団となっているのか、集団内での役割や周りからの影響など解析していくべきと考えている。
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