研究課題/領域番号 |
22K19374
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
吉田 栄人 金沢大学, 薬学系, 教授 (10296121)
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研究分担者 |
水野 哲志 金沢大学, 医学系, 助教 (60882230)
坂本 明彦 金沢大学, 薬学系, 助教 (70740439)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | COVID-19 / ワクチン / ワクシニアウイルス / アデノ随伴ウイルス / 中和活性 / 感染防御 |
研究開始時の研究の概要 |
新型コロナウイルスSARS-CoV-2 S抗原遺伝子を導入したLC16m8D/AAVワクチンを作製。中和試験,動物接種実験を実施し,感染防御ワクチン効果を評価する。
研究の意義 (i) ポストコロナを見据えた緊急性・重要性・インパクトの高い独創的研究:国民の生命を守る喫緊の国内感染症対策,純国産ワクチンイノベーションにつながる。 (ii) 抗原遺伝子の入れ替えだけで構築できる次世代汎用ワクチンプラットフォーム:従来のProtein-in- Adjuvantワクチン型開発戦略を大きく変革・転換する。病原体の遺伝子情報が入手できれば、半年以内にワクチン作製ができる次世代汎用ワクチンプラットフォームである。
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研究実績の概要 |
【研究目的】 新興感染症アウトブレイクに迅速に対応できる汎用的国産ワクチンプラットフォームの基盤技術を確立することを目的とする。我々はワクシニアウイルス生ワクチン株LC16m8Δとアデノ随伴ウイルスAAVよりなるワクチンプラットフォーム(LC16m8Δ/AAV) を開発し、マラリアワクチン研究で100%の感染防御に成功している(マウスモデル)。本研究ではこのLC16m8Δ/AAVが汎用的ワクチンプラットフォーム基盤技術となりうるかを検証するためにCOVID-19ワクチンを作製し、動物実験によりその有効性を検証する。ポストコロナで危惧される新興感染症に対して,ワクチン開発に迅速に取り掛かれるプラットフォーム創製へと発展するインパクトと貢献が見込まれる挑戦的萌芽研究である。
2023年度の研究成果として、オミクロンBA.1株のスパイク(S)タンパク質遺伝子をウイルスゲノムに組み込んだウイルスベクターワクチンLC16m8Δ2-SおよびAAV1-Sを作製した。BALB/c マウスをLC16m8Δ2-Sで免疫し、6週後にLC16m8Δ2-SもしくはAAV1-Sで追加免疫を行った。免疫マウスの血清を用いて、Sタンパク質の受容体結合領域に対するELISAを行った。また、シュードウイルスや患者から単離したBA.1株に対する中和試験を行った。一方、脾臓細胞を用いてELISpot及びフローサイトメトリーを行うことで、主要なCD8陽性T細胞エピトープに対する免疫応答を解析した。その結果、AAV1-Sの追加免疫ではLC16m8Δ2-Sの追加免疫と比べSタンパク質の受容体結合領域に対する抗体価は同等だが、アビディティーは高かった。また、シュードウイルスと患者由来BA.1株のいずれに対する中和活性とも優れていることが分かった。一方で細胞性免疫においてはAAV1-Sの追加免疫はLC16m8Δ2-Sの追加免疫と比べ主要なエピトープに対するCD8陽性T細胞の誘導は同等だった。だが、複数のサイトカインを産生するCD8陽性T細胞の誘導は少ないことが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではLC16m8Δ2およびAAV1をベクターとする新型コロナウイルスのワクチンを作製し、LC16m8Δ2-Sで免疫し、追加免疫のワクチンを比較することでAAV1-Sによる相乗的な免疫応答の誘導に成功した。抗原に対する抗体のアビディティーおよび中和活性の向上が見られた。上記結果を2023年第70回日本ウイルス学会学術集会で発表を行った。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではLC16m8Δ2およびAAV1をベクターとする新型コロナウイルスのワクチンを作製し、LC16m8Δ2-Sで免疫し、追加免疫のワクチンを比較することでAAV1-Sによる相乗的な免疫応答の有無を評価した。AAV1-Sで追加免疫することでLC16m8Δ2-Sでの追加免疫と比べ抗原に対する抗体のアビディティーおよび中和活性の向上が見られた。今後は、胚中心の形成やTh1/Th2応答の解析などを通してこのしくみを明らかにしたい。
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