研究課題/領域番号 |
22K19385
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
太田 茂 和歌山県立医科大学, 薬学部, 教授 (60160503)
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研究分担者 |
太田 誠一 東京大学, 大学院工学系研究科(工学部), 准教授 (40723284)
佐能 正剛 和歌山県立医科大学, 薬学部, 准教授 (00552267)
高岡 尚輝 和歌山県立医科大学, 薬学部, 助教 (40909587)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 金ナノ粒子 / 反応性代謝物 / 薬物性肝障害 / ナノ粒子 |
研究開始時の研究の概要 |
医薬品の副作用のうち薬物性肝障害の頻度は高い。その中で、薬物代謝酵素による反応性代謝物生成が主な要因として知られている。薬物性肝障害の治療薬開発にあたり、本研究では、ドラッグデリバリーシステムのキャリアとして知られるナノ粒子に着目した。肝臓への指向性を高め、反応性代謝物を捕捉するための化学修飾を施し、効率的かつ安全に反応性代謝物を体外へ排泄させるナノ粒子を創製する。
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研究実績の概要 |
医薬品の副作用のうち、薬物性肝障害の発症は多い。その原因には、タンパク質と結合する反応性代謝物が肝臓中の薬物代謝酵素によって生成されることが、その発症の主な引き金となっている。反応性代謝物は、生体内グルタチオンのチオール基と結合して解毒排泄される機構があることから、その治療にはグルタチオンの補充がなされるが、その治療満足度は十分ではない。そこで本研究では、治療薬候補として、ドラッグデリバリーシステムのキャリアとしての開発が進められているナノ粒子に着目した。肝臓への指向性を高めるために肝特異的抗体を付加し、また親電子性が高い反応性代謝物を捕捉するためにチオール基を付加することで、反応性代謝物をナノキャリアごと体外へ排泄させるナノ粒子(金ナノ粒子)を創製する。その中で、肝臓中に曝露されている反応性代謝物を、迅速にかつ安全に排除できる治療薬の開発を目指す。 当該年度は、評価化合物として反応性代謝物の生成が知られるアセトアミノフェンを用い、金ナノ粒子の効果をin vitro実験から評価した。その結果、金ナノ粒子は、アセトアミノフェンに対して吸着能があることが示唆された。また肝細胞に金ナノ粒子を添加したところ、金ナノ粒子が肝細胞内に取り込まれていることが示唆された。しかしながらアセトアミノフェンによる肝細胞毒性を大きく軽減させる結果は得られなかった。アセトアミノフェンの反応性代謝物を効率的に吸着できていない可能性が考えらえた。現在、反応性代謝物を効率的に補足するために金ナノ粒子の表面を化学修飾したものを創製している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
実験条件の確立にやや時間を要し、また今回の研究成果を受けて、さらなる検討事項が必要となった。しかし、目的を達成するための研究の方向性は定まっており、今後の研究成果が期待されるところである。
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今後の研究の推進方策 |
金ナノ粒子の肝細胞への取り込み、反応性代謝物の捕捉能を高めるため、金ナノ粒子の表面を化学修飾したものを創製し、薬剤の反応性代謝物生成に伴う肝細胞毒性を軽減させるかどうか評価する。その中で、最適な金ナノ粒子の粒子径も決定する。用いる検証薬剤は、反応性代謝物の関与が小さいものから大きいものまで幅広く選択し、その効果を定性的、定量的側面から精査したいと考えている。
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