研究課題/領域番号 |
22K19393
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分47:薬学およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構 |
研究代表者 |
高堂 裕平 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 量子生命科学研究所, 主幹研究員 (60593564)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | アストロサイト / 磁気共鳴スペクトロスコピー / 超偏極MRI / DREADD / 超偏極MRS / バイオマーカー |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、アストロサイトの活動性を反映するバイオマーカーを確立することである。マウスのアストロサイトのカルシウム濃度をDREADDで操作し、その際に、脳内環境を検出し得る各種バイオマーカー(イメージングや体液バイオマーカー)に生じる変化を明らかにする。本研究で得られる知見は、アストロサイトの活動・機能を反映する新たなイメージングツール開発の際の基盤データとなり、正常から疾患に至る脳内環境におけるアストロサイトの活動の解明への貢献が期待される。
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研究実績の概要 |
アストロサイトは高等な生物であるほどに神経細胞に対する脳内の存在比率が高くなり、脳内で重要な役割を担っていることが明らかになりつつある。しかし、神経細胞と異なり電気活動を示さないため、活動性の指標はカルシウム濃度に基づいて行われ、マクロな視点でのアストロサイト活動の評価は困難である。したがって、マクロな評価が必要となるヒト脳病態において、アストロサイトがどのように関与しているかは未知の部分が多い。 本研究の目的は、アストロサイトの脳内における活動の意義を明らかにするために、アストロサイトの活動性を反映するバイオマーカーを確立することである。そのため、マカクザル・マウスのアストロサイトのカルシウム濃度をDREADDで操作し、このときの脳内環境の変化を、A.イメージングバイオマーカー(磁気共鳴スペクトロスコピー(MRS)、ポジトロン断層撮像(PET)、超偏極MRSないしCEST)、B. 体液バイオマーカーで明らかにする。本研究で得られたバイオマーカーは今後アストロサイト機能を反映する新たなPETリガンド開発の際の基盤データとなる。 2022年度には超偏極装置を用いて1-13Cピルビン酸の超偏極プロトコルの確立を行った。続いてマウスを対象に超偏極実験のプロトコールの最適化、覚醒下MRS実験系の最適化を実施し、DREADDによるアストロサイトのカルシウムの操作を行う実験系を確立した。麻酔下であるが、DREADD操作下で超偏極実験に成功し、ピルビン酸と乳酸のシグナルの変化を検出することに成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度はサルとマウスでの比較を行う予定であったが、サルでのDREADDアストロサイトの操作は、サルの導入価格の高騰により計画を修正し、マウスで実験計画を進めることとした。2022年度にはDREADDによるアストロサイトのカルシウム操作の系の確立、覚醒下MRS・CESTの系の確立を行った。R5年度の覚醒下超偏極MRSの準備として、麻酔下での超偏極MRS実験を実施し、DREADDによるカルシウムの操作で13Cピルビン酸と13C乳酸のシグナルの変化をとらえることができた。マウスの実験はR5年度の計画も進めることができて当初の計画以上に進展したが、サルの計画に変更が生じたため、表題の区分と判断した。
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今後の研究の推進方策 |
核磁気共鳴を用い信号雑音比を10000倍に増加させる超偏極MRS手法を用いてこれまで測定不能であった乳酸・ピルビン酸のイメージングを実現する。乳酸はアストロサイト機能を反映する可能性が示唆され、アストロサイト機能バイオマーカーの有力な候補となる。本研究では、生理的な条件下でのバイオマーカー創成に向け、覚醒下での超偏極MRS実験の実施を目指す。 R5年度は覚醒下での超偏極実験のプロトコール確立を行い、DREADDによるカルシウム操作と併用しアストロサイトの機能バイオマーカーの開発を進める。並行してPETでのアストロサイトマーカーの開発も進めていく。
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