研究課題/領域番号 |
22K19406
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 東邦大学 |
研究代表者 |
山口 新平 東邦大学, 理学部, 講師 (80740795)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | インプリンティング / キメラ / 発生工学 |
研究開始時の研究の概要 |
哺乳類では父母由来のゲノム配列はほぼ同一にもかかわらず、片方だけでは発生することができない。これは、父方、母方、いずれか一方のゲノムからのみ遺伝子が発現するゲノムインプリンティング現象があるためである。インプリンティングは胚発生や胎盤形成において必要不可欠な役割を果たしているが、単為発生胚が初期胚致死となるため、成体において果たしている役割はほとんどわかっていない。そこで本研究では、この疑問に、独自に開発した発生工学的手法を用いて挑戦する。
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研究実績の概要 |
卵が受精することなく発生を開始する単為発生は、高等生物を含む多くの種で確認されているが、哺乳類では胎生致死となり、全く発生しない。これは、哺乳類では父親由来と母親由来の染色体が異なる役割を果たしており、両方が揃うことが正常な発生に不可欠なためであり、片方の染色体からのみ発現するインプリンティング遺伝子が存在するためである。インプリンティング遺伝子の多くは、脳や胎盤で高発現していることから、インプリンティングが胎盤と発達した脳という哺乳類の主徴を獲得する上で重要な役割を果たしたことが示唆されている。しかし、脳においてインプリンティングがどのような働きを担っているのかという生理機能はほとんどわかっていない。そこで申請者は、単為発生胚の致死性の表現型を、キメラ胚補完法でレスキューすることに着想した。さらに、CRISPRによる遺伝子破壊胚をホストとして用いることで、特定の組織の細胞を単為発生胚由来の細胞に置換することができるのではないかと考えた。 本年度はまず、小脳と中脳の発生に必須のWnt1を標的として選んだ。Wnt1を欠損するマウス胚では中脳と小脳の発生が強く阻害された。一方、未受精卵を活性化して作製した雌性単為発生胚と凝集して作製したキメラ胚ではこの異常がレスキューされていた。このマウスからはFACSを用いることで単為発生胚由来細胞を回収して遺伝子発現解析を行ったところ、既知のインプリンティング遺伝子に加えて、多くの未知のインプリンティング遺伝子候補が同定できた。個々の細胞における遺伝子発現をさらに解析すると同時に分化異常を詳細に解析するために単一核RNAシークエンシングに着手し、そのサンプル準備をほぼ完了することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
単為発生胚による脳の置換実験系を確立し、高効率キメラと、キメラ胚における表現型のレスキューが再現性良く確認できた。さらに、バルクでの遺伝子発現解析も完了し、新規のインプリンティング遺伝子候補も多数同定できた。一方で、研究代表者の研究機関の移動のために研究の進捗が停止する期間があった。後半には単為発生胚由来神経細胞の表現型解析のための神経細胞の単離、培養実験系も確立でき、単一核RNAシークエンシングの準備も整った。次年度にむけてインプリンティングの細胞分化と遺伝子発現制御における役割を明らかにする準備が整った。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は単一核RNAシークエンシングによる遺伝子発現解析と、培養神経細胞の表現型解析、および組織学的異常の解析を実施する。これらの解析を通じて単為発生胚に由来する神経細胞がどのような遺伝子プロファイルをもち、どのような細胞生物学的特性、特に増殖と分化、に異常が生じているのかを明らかにする。これらの結果に基づいて、生体内の脳の発生において重要な機能を果たしているインプリンティング遺伝子を絞り込む。これらの実験が順調に進んだ場合には、単為発生胚の脳置換マウスを出生させ、出生後の表現型解析に着手する。
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