研究課題/領域番号 |
22K19411
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 生理学研究所 |
研究代表者 |
堀内 浩 生理学研究所, 基盤神経科学研究領域, 特別訪問研究員 (60760733)
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研究分担者 |
澤田 和明 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (40235461)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | 細胞外空間 / イオンダイナミクス / CMOSセンサ / イメージング / 自由行動 |
研究開始時の研究の概要 |
脳高次機能は細胞外空間を介した脳細胞間情報伝達によって発現するが、生体において細胞外の化学的環境がどのような時空間的規模で変容し、脳活動に影響を与えているのかはわかっていない。これには高精細な細胞外イメージング技術がないことが大きな障壁となっている。本研究では、独自に開発を進めている小型軽量化CMOSイオンイメージセンサを生体脳に適用し、個体の行動に伴うイオンダイナミクスを捉える。さらに、画素毎に異なるイオン検出特性を持たせることで微小空間の複雑な化学物質の状態を捉えるためのマルチイオンイメージング法を構築する。
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研究実績の概要 |
脳高次機能は細胞外空間を介した脳細胞間情報伝達によって発現するが、生体において細胞外の化学的環境がどのような時空間的規模で変容し、脳活動に影響を与えているのかはわかっていない。これには高精細な細胞外イメージング技術がないことが大きな障壁となっている。本研究では、独自に開発を進めている小型軽量化CMOSイオンイメージセンサを生体脳に適用し、個体の行動に伴うイオンダイナミクスを捉えることを目的とする。 本年度は、自由行動下での計測を目的として従来型の基板部分を大幅に小型軽量化し、参照電極を内蔵した新型センサのプロトタイプの開発を完了し、生体検証の段階に移行した。まず、生体マウスの大脳皮質および海馬における生体検証によって、出力電位の安定性を基に参照電極の最適化を行いその材料を決定した。薬理学的手法によって、神経活動に依存して電位が変化したことから、確かに細胞外pHが検出できていることを確認した。次に、自由行動を妨げない柔軟性のあるケーブルの材質ならびに長さを決定し、自由行動中の細胞外pHを計測した。様々に条件検討を行った結果、体動によるノイズや不具合は発生せず、少なくとも埋植2週間程度まで安定して記録することができた。今後、疾患モデルや個体動物の行動に伴って細胞外イオンがどのように変動するのかを明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本イメージセンサは、半導体集積回路上にセンサがアレイ状に並んでおり、表面上のイオン結合による表面電荷の変化によって、高い時空間解像度でイオン像が撮影できる。しかしながら、これまで開発してきたセンサは質量や大きさの観点からマウスなどの小動物の行動を妨げるため、自由行動中のイオン計測を行うことが困難であった。 本年度は自由行動下での計測を目的として従来型の基板部分を75%小型化、80%軽量化した新型センサのプロトタイプ(チップ幅1mm, 厚さ0.1mm, 画素数256×32, 画素ピッチ5μm, 時間分解能20msec, 重さ1g)を開発し、生体検証による内蔵型参照電極の最適化、生体からの細胞外pH記録、自由行動下での計測の達成を目標にした。様々に生体検証を行った結果、内蔵型参照電極の材質は塩化銀が最適であり、それを用いて生体マウスの大脳皮質および海馬から細胞外pHを記録することに成功した。自由行動下計測に向けケーブルなども選定して、マウスの体動による影響を排除した安定した細胞外pH計測に成功した。したがって、当初の目標を十分に達成できたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は自由行動下での計測を目的として従来型センサを小型軽量化したプロトタイプを開発し、生体検証によって、自由行動下でのイオン計測を達成した。今後は疾患モデル動物を用い、個体行動に表現される病態発現に伴って細胞外pHがどのように変化するかを明らかにする。さらに様々な行動試験を行い、特定の行動中におけるイオン変化についても検証したい。
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