研究課題/領域番号 |
22K19412
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分48:生体の構造と機能およびその関連分野
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研究機関 | 国立研究開発法人国立がん研究センター |
研究代表者 |
荒川 博文 国立研究開発法人国立がん研究センター, 研究所, 分野長 (70313088)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 相分離 / 液滴 / 非膜オルガネラ / ミトコンドリア / カルジオリピン / 酵素反応 / 代謝連続反応 / p53 / バイオサーファクタント / 界面 / 液-液相分離 / membrane-less organelles / がん抑制 / 代謝反応 |
研究開始時の研究の概要 |
細胞における人為的代謝制御法の開発は人類の夢である。我々はMieapタンパク質がミトコンドリアに膜のないオルガネラ(Mieap液滴)を形成し、ミトコンドリアに特異的なリン脂質であるカルジオリピンの代謝反応(生合成とリモデリング)を区画化・促進している可能性を見出した。Mieap液滴はカルジオリピンの代謝を促進してミトコンドリアのエネルギー産生を上昇させ酸化ストレスを抑制することで健常なミトコンドリア機能を維持し老化や疾患の予防に重要である。本研究は、Mieap液滴による代謝連続反応制御のメカニズムを解明し、さらにそれを応用することで人為的代謝制御法を開発し、人類の健康長寿社会への貢献を目指す。
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研究成果の概要 |
膜のないオルガネラとしての液滴は、液-液相分離によって誘導される。この新しい細胞内生命原理は、これまでの膜のあるオルガネラを中心とした学問では説明が難しかった現象を説明しうる新しい生物学として発展しようとしている。我々が長年研究を続けてきたp53誘導性タンパク質Mieapはミトコンドリアに液滴の形成を誘導することが明らかとなった。このMieap液滴は非膜オルガネラとしてミトコンドリアに特異的な脂質であるカルジオリピンの代謝反応を制御することで、ミトコンドリアの健常性維持に重要な役割を果たす。それによって、がん・認知症・老化などの病態から我々の健康を守ってくれている可能性がある。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
古典的概念ではこれまで説明が難しかった代謝連続反応のメカニズムを液滴による代謝制御という全く新しい概念で解明することが可能になると期待される。細胞内の様々な生物活性の反応様式が、単なる教科書の図ではなく、リアリティーのある生物活性として説明可能になると期待される。Mieap液滴を応用することで、カルジオリピン代謝制御を介した全く新しいミトコンドリア健常性維持の手段を提供し、がん・認知症・老化などの予防や治療が可能になると期待され、広く人類の健康福祉に大きく貢献する可能性がある。
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