研究課題/領域番号 |
22K19427
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 山梨大学 |
研究代表者 |
中尾 篤人 山梨大学, 大学院総合研究部, 教授 (80317445)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 免疫系 / 学習 / 記憶 / 舌下免疫療法 / 制御性T細胞 / 予知応答リズム / 概日時計 / 海馬 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「免疫系がアレルゲン暴露に対して予知応答リズムを形成するか、その学習はどのように形成されるか」をマウスの系で明らかにする。具体的には、免疫寛容モデル(抗原のみ投与)の実験系であるアレルギー舌下免疫療法モデルを使い以下の3項目を明らかにする。 1)リンパ球の体内動態は定時のアレルゲン舌下投与に対して予知応答リズムを示すか? 2)概日時計はこの予知応答リズムに関与するか? 3)学習能力(記憶)はこの予知応答リズムに必要か? 本研究は「免疫系に学習能力があるのか?」という「特異性」「多様性」「記憶」に次ぐ免疫系の第4の特性の有無を明らかにする現代免疫学に対する挑戦的研究である。
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研究実績の概要 |
マウスやラットに毎日一定時刻の給餌を行うと餌を得られる時刻に先立って2-3時間前より活動量が高くなる。この行動は毎日決まった時間に出現し予知行動リズムと呼ばれる。予知行動リズムは、脳の学習機構が働いて、餌を得ていた時間帯を記憶していることの証拠となる。このリズムにより食事獲得効率が上がるため生存に有利に働いたと考えられる。 免疫系は、食事同様、動物の生存に必須なシステムである。よって生存を有利にするため、免疫系が細菌やアレルゲン等の侵入に備え予知応答リズムを示しても不思議ではない。実際、マウスリンパ節のリンパ球数は、概日時計及び交感神経活動により、活動期に増加し休息期に減少する。この現象は、病原体に暴露されるリスクが活動期に増えることへの準備と考えられ一種の予知応答リズムである。一方で、給餌制限による予知行動リズムのように毎日一定の時刻に病原体やアレルゲンに暴露されたとき、免疫系が予知応答リズムを形成するかは不明である。 本年度は、免疫系が予知応答リズムを形成するか否かを明らかにするために、舌下免疫療法モデルを用いて、マウス頸部リンパ節の制御性T細胞の動態について予備的検討を行った。その結果、舌下免疫療法を午前10時に一週間行ったマウスの頸部リンパ節において、記憶制御性T細胞の集積が午後10時に比較して多く見られることが明らかになった。今後、舌下免疫療法を中止したときに、午前10時に同様の集積が認められるか否かについて検討する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
舌下免疫療法モデルを用いて、マウス頸部リンパ節の制御性T細胞の動態について予備的検討を行った結果、舌下免疫療法を午前10時に一週間行ったマウスの頸部リンパ節において、記憶制御性T細胞の集積が午後10時に比較して多く見られることが明らかになった。この知見が今後の研究を進めるカギとなるため、本計画は概ね順調に進んでいると評価する。
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今後の研究の推進方策 |
今後、舌下免疫療法モデルマウスにおける顎下リンパ節のリンパ球サブセット(Th1,Th2,Th17等)の動態ならびにリンパ球動態を制御する分子(β2アドレナリン受容体,CCR7,S1PR1)の発現動態を解析し、それらが予知応答リズムを示すか否かについて検討する。
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