研究課題/領域番号 |
22K19437
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
松本 満 徳島大学, 先端酵素学研究所, 教授 (60221595)
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研究分担者 |
松本 穣 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 講師 (30836250)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2023-03-31
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研究課題ステータス |
中途終了 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 胸腺 / 自己寛容 |
研究開始時の研究の概要 |
T細胞のレパトア形成にはたらく「正」と「負」の選択機構の相互作用、ならびに両者の包括的な意義を明らかにする目的で、(1)「正」と「負」、それぞれの選択過程に必須の役割を担う遺伝子であるb5tとAireについて、その二重欠損マウスを1型糖尿病モデルであるNOD背景で作製し、病気のスペクトラムと重症度を評価する。一方、申請者は胸腺髄質上皮細胞(mTEC)の核に存在するAire蛋白が胸腺内DCの細胞質に転移していることを発見したので、(2)mTECの核に由来し、DCの細胞質に転移したAire蛋白が、胸腺におけるトレランス機能に重要な役割を果たしているという大胆な仮説を立てて検証する。
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研究実績の概要 |
T細胞がどのような抗原に対して、どのように反応するかは胸腺における「正」と「負」の選択によって決まる。この胸腺機能に関する近年の重要な発見は、それぞれの選択過程に鍵となる分子が同定されたことである。これらは、「正の選択」に働くb5tと「負の選択」に働くAireである。1型糖尿病モデルであるNOD背景のb5t欠損マウスと、同じくNOD背景のAire欠損マウスとの二重欠損マウスを作製して両者の欠損によってどのような病態が生ずるかを調べるべく個体の作出を進めた。まだ観察数は十分とは言えないが、現在のところb5t欠損NODマウスは糖尿病の発症率についても、膵臓以外の臓器の自己免疫病態についても未処置NODマウスとの差異を認めていない。 一方、樹状細胞(DC)の細胞質に転移した胸腺髄質上皮細胞(mTEC)由来のAire蛋白の機能については、Aireレポーターマウスを用いて胸腺内のDCにmTEC由来のAire蛋白が存在することを確認した。そこで、mTECから受け取り、胸腺内DCの細胞質に存在するAire蛋白が、トレランスに関わる重要な機能を発揮するという仮説を検証すべく、胸腺移植の実験を行った。すなわちmTECにAireのnuclear dotを発現するAireレポーターマウス胎仔胸腺を胸腺欠損ヌードに移植したところ、ヌードマウス由来の胸腺内DCにもAire dot proteinの発現を確認した。しかもこの場合にもAire dot proteinは細胞質内に存在したことから、mTECからDCへのAire nuclear dot proteinの移行は、DCによるmTECの貪食を介して起きている可能性が高いと思われた。本研究課題における最大の謎である、この細胞質に転移したAireが果たして抗原提示に関与しているか否かについては、T細胞の免疫応答を解析する実験を行う必要がある。
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