研究課題/領域番号 |
22K19438
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
増本 純也 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 教授 (20334914)
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研究分担者 |
座古 保 愛媛大学, 理工学研究科(理学系), 教授 (50399440)
白木 賢太郎 筑波大学, 数理物質系, 教授 (90334797)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ASC-speck / インタラクトーム / 液液層分離 / 液-液相分離 / インフラマソーム |
研究開始時の研究の概要 |
神経変性疾患や感染症では責任細胞内にドロプレットが観察されるが、その疾患における役割は解明されていない。そこで、ASC-speckという液滴形成による疾患が存在するということを証明し、次に、相分離液滴の形成や形成の異常に基づいた疾患を分類する。最後に、液-液相分離異常を是正する分子機序に基づいた疾患の治療法を確立する。これにより、細胞内の液液相分離による細胞膜で分画されていない細胞質内ドロプレット(液滴)が介在する疾患という新たな病理学的な疾患概念を確立する。
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研究実績の概要 |
アミロイドやDNA/RNAなどの核酸や天然変性領域をもつタンパク質などは、細胞質内液滴を形成する。神経変性疾患やウイルス感染細胞では液滴状の小体が観察される。一方、炎症性サイトカインであるIL-1βの活性化に必須の細胞内自然免疫複合体であるインフラマソームの重要な構成タンパク質であるASCは、細胞内小器官とは異なる液滴に濃縮され、先述の小体と同様の小体を形成する。この小体はインフラマソームの構成成分であるASCを含むことからASC-speckと呼ばれている。先行研究でASC-speckを免疫染色し、電子顕微鏡によって観察すると、膜を持たない液滴からなる小体であることがわかっていた。 本研究では、液液層分離の形態を示すASC-speckにどのような分子群が関与して、病態が形成されていくのかを明らかにし、この新しい機序の鍵となる責任標的分子を同定するために、ヒト20kタンパク質アレイと近位依存性ビオチン化酵素を融合させたASCを使用して、ASCと相互作用するタンパク質やASCと協働するタンパク質群(インタラクトーム)のうち、液液層分離と強く相関する天然変性領域をもつタンパク質群を明らかにした。 NLRP3をbeitにしたスクリーニングで上位のシグナルを得られたタンパク質のうち、タンパク質内部に天然変性領域をもつ候補タンパク質をCANEと命名した。CANEは液液層分離に寄与し、ASC-speckに凝集する。このタンパク質に対する抗体を作製して、NLRP3の抗体との蛍光二重染色を行うと、実際にNLRP3のリガンドで刺激したTHP-1細胞由来マクロファージの細胞質中に凝集体として観察された。CANEを恒常的に発現するマウスを作製すると慢性的炎症を呈することから、CANEは液液相分離異常を誘導する責任タンパク質のひとつで、その制御異常により病理学的な変化をもたらす可能性が示された。
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