研究課題/領域番号 |
22K19446
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分49:病理病態学、感染・免疫学およびその関連分野
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹馬 俊介 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (50437208)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 自己免疫疾患 / ヘルパーT細胞 / 免疫治療 / メモリーT細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
難治性免疫疾患の原因である、IL-17産生性ヘルパーT細胞 (Th17)は、生体内で長期間生存する「しつこさ(persistency)」を示し、これが免疫難病の治療抵抗性および治療後再発の主因と考えられる。予備検討で、T細胞の副刺激阻害薬(CD28阻害薬)であるアバタセプトが、Th17依存性自己免疫マウスモデルの発症を抑制するにもかかわらず、治療後のマウスには、抑制されたTh17が「しつこく生存」しており、この細胞が、治療終了後に分裂、活性化して再発の原因となると考えている。本研究では、治療後に残存した自己反応性メモリーT細胞の生存機構を解析し、これをターゲットとする新規治療法を目指す。
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研究成果の概要 |
Th17依存性の皮膚炎モデルを樹立し、 Th17にはエフェクター様、メモリー様の、2種の亜集団があることを明らかにした。エフェクター様細胞は、CD28阻害薬によってほぼ完全に抑制され、これに伴って自己免疫性皮膚炎は完全に抑制された。一方で、メモリー様細胞はCD28阻害に関係なく体内で生存し、新たなエフェクター様細胞へと分化する性質を示した。さらに、メモリー様細胞に特有のコレステロール代謝、エタノール代謝といった代謝経路を明らかにした。特に、メモリー様細胞に発現していたアルデヒド脱水素酵素に着目し、この阻害薬を用いると、前述の皮膚炎モデルにおいてメモリー様細胞の生存を阻害できることがわかった。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
人口の約5%が何らかの自己免疫疾患に罹患すると言われているが、自己免疫疾患の治療抵抗性、再発メカニズムは不明である。Th17は、自らを複製し長期生存する一方、炎症細胞を生み出す「ステムネス」を持つとされるがその実態は明らかではなかった。本研究では,Th17に少なくとも2つの亜集団が存在し、メモリー様細胞は免疫治療に抵抗して体内生存し、炎症細胞へ分化できることを明らかにした。また遺伝子発現解析から、メモリー様細胞に発現する独特の遺伝子群を見出し、この阻害によりメモリー様細胞の阻害が可能であることを示した。本研究成果は難治性免疫疾患の一端を明らかにした点で学術的意義、臨床的な意義を併せ持つ。
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