研究課題/領域番号 |
22K19473
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分50:腫瘍学およびその関連分野
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研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
衣斐 寛倫 愛知県がんセンター(研究所), がん標的治療TR分野, 分野長 (00645145)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | metabolite / KRAS / 耐性 / オンコメタボライト / 分子標的薬耐性 |
研究開始時の研究の概要 |
オンコメタボライトは、がん細胞において特徴的にみられる代謝産物である。オンコメタボライトは、遺伝子の転写調節のひとつであるエピジェネティクスに関与するほか、酸化ストレス応答の恒常的な活性化などを引き起こす。これまでオンコメタボライトは、代謝酵素が変異などにより機能異常をきたすことにより、異常蓄積し悪性化に関与すると考えられてきた。しかし、近年、がんのドライバー遺伝子異常がオンコメタボライトを介して代謝経路をリプログラミングすることが示唆されている。本課題では、分子標的薬の耐性にオンコメタボライトが果たす役割を解明し、将来的な新規治療開発の糸口をつかむことを目指す。
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研究実績の概要 |
分子標的治療薬耐性とオンコメタボライトの関連について、EGFR、ALK、KRAS変異肺がんを対象に検討した。まず、ヒトの液性因子がどのように耐性に影響を与えるかを検討するため、患者由来のがん性胸水をそれぞれの変異細胞株に添加したところ、EGFR、ALK変異腫瘍では阻害薬の感受性に影響を与えなかったが、KRAS阻害薬では阻害薬の耐性化を認めた。胸水にはメタボライトのみならずサイトカインなどのタンパクも含まれる。しかしながら、胸水よりメタボライトのみを抽出し、細胞株に添加したところ阻害薬の耐性化を認めたことから、胸水中のメタボライトがKRAS阻害薬の耐性に関与すると考えられた。胸水中のオンコメタボライトを同定するためメタボローム解析を行ったところ、複数のメタボライトが検出された。このうち、代表的なものを3種類選択し、細胞株に添加したところ、1種類について阻害薬の耐性化を認めた。メタボライトを産生している細胞種を特定するため、がん細胞株、腫瘍関連マクロファージ、腫瘍関連線維芽細胞などの腫瘍およびその微小環境に存在する細胞種について、産生されるメタボライトを測定し、候補となる細胞種を特定した。同定された細胞種とがん細胞株を共培養したところ、阻害薬の耐性化が認められ、この細胞種が阻害薬の耐性化に関与していると考えられた。さらに候補となったメタボライトは腫瘍細胞からも放出されており、オートクライン、パラクラインの両者の影響が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
現時点で候補となるオンコメタボライトが同定てきており、in vitroにおいてがん細胞の阻害薬耐性に関与することが確認できていることから、当初の計画より順調に進捗していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
昨年度、候補となるオンコメタボライトが同定出来た。腫瘍細胞および腫瘍の周囲細胞の両者からオンコメタボライトが放出されていたことから、オンコメタボライトが腫瘍の周囲細胞に与える影響についても評価する予定である。また、in vitroでは確認できているオンコメタボライトが阻害薬の耐性化に果たす役割がin vivoでも再現できるか、マウスモデルを用いて評価する予定である。
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