研究課題/領域番号 |
22K19476
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分51:ブレインサイエンスおよびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
田中 真樹 北海道大学, 医学研究院, 教授 (90301887)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | 作業記憶 / 中央実行系 / 消去 / 保続 / n-back / 前頭前野 / 眼球運動 / 非ヒト霊長類 / ワーキングメモリ / 短期記憶 / 前頭連合野 |
研究開始時の研究の概要 |
作業記憶は前頭連合野を主座とし、記憶を貯蔵する下位システムと情報の統合・操作を行う中央実行系に分けられる。短期記憶の神経表象は遅延期間中の持続的な活動として古くから報告があるが、記憶を更新・消去する際に前頭連合野ニューロンがどのような活動を示すのか明らかではない。本研究では、サルに眼球運動を用いたn-back課題を訓練し、これを調べる。また、記憶の更新に関わる脳部位の電気刺激を行い、n-back課題中の忘却を生じさせることを試みる。
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研究成果の概要 |
作業記憶は情報を一時的に保持し、それを選択・操作・更新する脳機能であり、複雑な行動制御や会話、思考などに必要となる。この機能系は下位システムである短期記憶の貯蔵庫と、その操作をする中央実行系(上位システム)で構成され、前頭連合野にその首座がある。記憶保持中の持続した神経活動については多くの報告があるが、中央実行系の神経メカニズムについては多くが明らかにされていない。本研究では、前頭葉機能検査のひとつであるn-back課題を改変してサルに訓練し、記憶更新時の神経活動を探索した。外側前頭前野の一部のニューロンは記憶更新時に特異的に活動し、同部の電気刺激によって特定の記憶を消去することができた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
ヒトの複雑な行動を制御するために前頭連合野は不可欠である。作業記憶はその中心となる機能であり、統合失調症や認知症をはじめとする多くの疾患で障害されることがよく知られている。とくに、短期記憶を更新できない保続は、前頭葉機能障害を評価する上で臨床的にも重要である。本研究はその機能メカニズムの一端を神経細胞のレベルで明らかにしたものであり、新規性が高く、学術的に重要である。また、特定の記憶を消去する技術は将来的に保続などの症状を改善させる医療技術への応用につながるものと期待される。
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