研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究では、進化的にヒトに近縁な実験動物であるサル類において、改変ウイルスベクターを用いた全脳的な遺伝子導入法により疾患関連遺伝子の発現制御を行う、効率的な疾患モデル霊長類の作出法を確立することを目的とする。具体的には、霊長類新生児において全脳的かつ高効率なニューロンへの遺伝子導入を実現するキャプシド改変型のアデノ随伴ウイルスベクターを利用して運動疾患および精神疾患モデルサルを作出する。モデルサルの症状変化を効率良く検出するため、マルチカメラ撮像システムとAIを利用した行動解析システムを開発し、自然行動から効率的に種々の障害を検出・評価することを可能とする。
本研究では、進化的にヒトに近縁な実験動物であるサル類において、新患モデルの効率的な作出法と、効率的かつ定量的な症状解析法を開発を行った。前者では、マーモセット新生仔期の静脈内からの改変AAVベクター注入により全脳的な遺伝子ノックダウンを実現することに成功し、精神疾患モデルを作出するとともに、α-シヌクレイン遺伝子とα--シヌクレインフィブリルの共投与によるパーキンソン病モデルの作出に成功した。後者ではAIを利用した非ヒト霊長類多個体モーションキャプチャシステムの構築に成功し、上記疾患モデルザルの行動の自動解析を実現して、いくつかの症状を定量することに成功した。
本研究で開発した、改変AAVベクターを利用した疾患関連遺伝子の全脳的な発現制御による遺伝子改変霊長類の作出法は、発生工学的な作出に困難が伴う霊長類の遺伝子改変疾患モデルをより簡便に作出することを可能とし、複数の遺伝子の同時操作など様々な応用に繋がるものである。また、AIを利用したサルの行動解析法は、サルの正常・異常行動を定量的・客観的・迅速に解析でき、様々な疾患モデルに適用出来る画期的な行動解析プラットフォームに繋がるものである。これらのことから、本研究成果は遺伝子改変霊長類疾患モデル動物の作出とその評価を促進し、精神・神経疾患の病態解明と治療法の開発に極めて大きく寄与するものと考えられる。
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