研究課題/領域番号 |
22K19498
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所 |
研究代表者 |
永田 浩一 愛知県医療療育総合センター発達障害研究所, 分子病態研究部, 部長 (50252143)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | オリゴデンドロサイト / 発達障害 / 遺伝子異常 |
研究開始時の研究の概要 |
自閉性障害(ASD)や知的障害(ID)などの発達障害は人口の約10%に発症し、遺伝学的解析により1000以上の責任遺伝子(候補を含む)が報告されている。病態の本質は、ニューロンのシナプスの機能障害を基盤とする大脳皮質発達障害とされる。一方、発達障害の画像解析や死後脳解析により、患者脳ではニューロンだけでなくオリゴデンドロサイト(ODC)をはじめとするグリア細胞(他にアストロサイトとミクログリア)の機能・構造異常も報告されている。そこで本研究では、発達障害におけるODCの病態意義を想定し、遺伝子異常を原因とする発達障害の病態メカニズムを、ODCの機能障害の視点から解析する。
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研究実績の概要 |
1)オリゴデンドロサイト(ODC)の移動・局在・形態のin vivo解析: マウス大脳皮質のODCでNRG1遺伝子の発現抑制を行い、発達障害の病態をin vivoで模倣すた。固定標本を作成し、発生過程全般でODCの形態・移動・局在を免疫組織観察したところ、細胞形態の異常が観察された。 2)成熟後のODCの髄鞘形成のin vivo解析:マウスODCを分化・成熟させると、ニューロン軸索での髄鞘形成が起こり、ニューロン機能が正常に発現される。そこで、NRG1遺伝子の発現抑制を行い、遺伝子異常をin vivoで模倣した際に、髄鞘形成に及ぼす影響を経時的(胎生15日(E15), 生後0日(P0), P7, P15, P30, P60)に免疫組織学解析した。その結果、髄鞘形成に有意な形態変化は認められなかった。現在、実験条件を検討して、表現型の観察を行なっている。 3)ODC遺伝子異常がニューロンに及ぼす間接的影響のin vivo解析: ニューロンとODCには密接な相互作用がある。そこで、ONRG1遺伝子の発現抑制を行い、DCで遺伝子異常をin vivoで模倣した際の、i)ランビエ絞輪近傍の軸索へのK+-およびNa+-チャネル集積、ii)その後のニューロン形態やシナプス形成に及ぼす影響を観察した。現在までのところ、胎生15, 生後0, 15, 30日に観察しているがチャネルの集積に変化は見られない。そこで、電気生理学的解析によって、大脳皮質ニューロンのシナプスが機能的に障害を受けているかどうかを現在検討中である。特に、活動電位、誘発電位、NMDA/AMPA受容体機能が受ける影響について生後7日で解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初予想されたような実験結果が得られず、実験条件の設定に時間がかかったから。
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今後の研究の推進方策 |
成熟後のODCの髄鞘形成のin vivo解析については、実験条件の最適化が図れたと思うので、引き続き解析を行う。ODC遺伝子異常がニューロンに及ぼす間接的影響のin vivo解析については、形態的な差異よりも機能的な差異に焦点を当てて解析を進めたい。
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