研究課題/領域番号 |
22K19506
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
井口 洋平 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (80790659)
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研究分担者 |
勝野 雅央 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (50402566)
佐橋 健太郎 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90710103)
横井 聡 名古屋大学, 医学系研究科, 特任助教 (30815460)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 遠位型遺伝性運動ニューロパチー / 声帯麻痺 / コリントランスポーター / SLC5A7 / ALS |
研究開始時の研究の概要 |
研究代表者らは若年発症で四肢遠位筋優位に進行性の筋力低下と四肢腱反射亢進を認めるALS家系の遺伝子解析から、SLC5A7のC末端の新規欠失変異 (F502fs10) を同定した 。SLC5A7は神経筋接合部のシナプス前終末でコリンの再取り込みを担う分子であるが、SLC5A7のC末端の欠失変異が筋無力症ではなく遠位型運動ニューロパチーを生じる病態機序は解明されていない。本研究課題ではdHMN-Ⅶの病態を解明し病態抑止療法を開発することを目的とする。また、本疾患はALSと病態を共有する一面があり本研究によりALSの新規病態の解明と治療法開発に繋がる可能性がある。
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研究実績の概要 |
遠位型遺伝性運動ニューロパチー(dHMN) は四肢遠位優位の下位運動ニューロン障害による筋萎縮を進行性に認め、明らかな上位運動ニューロン徴候や感覚障害を認めない遺伝性疾患で、dHMN-Ⅶは声帯麻痺を伴う常染色体優性 (AD) の遠位型運動ニューロパチーとして分類されている。研究代表者らは若年発症で四肢遠位筋優位に進行性の筋力低下と四肢腱反射亢進を認めるALS家系の遺伝子解析からSLC5A7のC末端の新規欠失変異 (F502fs10; 以下SLC5A7fs) を同定した。2022年度はin vitroの解析でSLC5A7fsは細胞内輸送障害を認め細胞質に凝集・蓄積する傾向がみられた 。また、蓄積したSLC5A7fsはユビキチン化されエンドソームとの局在が見られないことも確認した。また、CRISPR/Cas9によるゲノム編集によってSlc5a7fsノックイン(Slc5a7KI)マウスの作製を行なった。ダイレクトシークエンスにより目的の変異を確認しオフターゲット変異のないことを確認したSlc5A7KIマウス3系統を樹立することができた。現状ではSlc5A7KIヘテロマウスは12週齢まで表現系を確認し運動機能に異常は来していない。さらにSLC5A7fsが細胞内輸送障害を来す病態としてSLC5A7fsにおいて欠失している領域に結合するモータータンパク質の候補を同定した。また、病理学的解析においてSlc5a7fs変異体の局在を同定するためにSlc5a7fs変異特異的な配列に対する抗体を作成しELISA法にてSlc5a7fs変異体を特異的に認識する抗体であることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Slc5a7ノックインマウスの作製に成功している。in vitroの実験でSLC5A7の明確な細胞内輸送障害を確認した。輸送障害原因となるモータータンパク質候補を同定した。また、Slc5a7fsを特異的に認識する抗体を作製した。コロナ禍における物品納品の遅延や人員確保の困難等があったが当初の予定通り計画を進めることができた。
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今後の研究の推進方策 |
Slc5a7KIマウスの表現系解析を進める。またSlc5a7KIマウスの初代培養運動ニューロンの解析を行う。さらにSLC5A7の細胞内輸送メカニズムを解明しfs変異の細胞内輸送障害の原因を特定を目指す。
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