研究課題/領域番号 |
22K19512
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分52:内科学一般およびその関連分野
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
斉木 臣二 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00339996)
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研究分担者 |
小林 俊輔 帝京大学, 医学部, 教授 (30579272)
石川 大 順天堂大学, 医学部, 准教授 (30622675)
松本 光晴 協同乳業株式会社研究所, 研究所, 主幹研究員 (50505972)
鎌形 康司 順天堂大学, 医学部, 准教授 (60568153)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | オートファジー / パーキンソン病 / 自律神経 / 腸内細菌叢 / 腸脳連関 |
研究開始時の研究の概要 |
孤発性パーキンソン病(PD)の全症例に共通して認められる病理学的所見はalpha-synuclein(aSyn)を主成分とする黒質神経細胞封入体Lewy小体である。病初期からaSynは嗅神経や消化管迷走神経終末に沈着し、軸索に沿って中枢神経内を伝播することで症状が進展する。しかしaSyn沈着の起端に腸管炎症の関与が示唆されているものの、その分子機構は不明である。本研究ではこの「PD発症原因と考えられる腸管神経終末のaSyn沈着が如何なる腸内細菌変化によるのか」を明らかにすることに挑む。本研究では、まず糞便メタボローム解析によりaSyn病理に直結する代謝産物変化を特定しその原因菌を明らかにする。
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研究実績の概要 |
我々は消化管自律神経からaSyn病理が生じ、経時的に上行し脳幹から全脳性に広がるとされるBody-firstタイプのPDについて、甲状腺への交感神経脱神経が生じる順序をMIBG心筋シンチグラフィーを用いて検証した。解析する症例群を運動症状発症3年以内のPD症例に絞り、便秘あり、便秘なし群に分け、MIBG心筋シンチグラフィーデータを検討した。便秘あり群では便秘なし群に比し、心/縦郭比、甲状腺/縦郭比が低下傾向を示した。外因性のドパミン、ドパミン受容体作動薬は下垂体D2受容体を刺激し、甲状腺刺激ホルモン分泌を抑制することから、我々は抗パーキンソン病薬を内服していないde novo PD群・健常対象者について、血漿メタボローム解析を行ったところ、長鎖アシルカルニチン群の有意な減少、血漿Thyroxine濃度の低下、長鎖脂肪酸群の有意な増加を認めたことから、脂肪酸β酸化の低下が生じていると推察された。血漿Thyroxine濃度は脂肪酸β酸化によって産生されるパルミトイルカルニチン、およびMIBG心筋シンチグラフィーの早期甲状腺/縦隔比とそれぞれ正の相関をすることから、それぞれ、脂肪酸β酸化の抑制、甲状腺脱神経に直接関与すると考えられた。どの臓器での脂肪酸β酸化が低下しているかを明らかにするため、体液成分を介したメディエーターとしての役割を持つエクソソームに含まれるmiRNAに着目し、その発現量を評価したところ171個のmiRNAが有意な変化を示した。これら171個のmiRNAの中で、10個以上のmiRNAが標的とするmRNAをTarBase v.8を用いて1994個同定した。この1994個のmRNAと、先述のメタボローム解析でPD群で有意な変化を示した60代謝産物についてIMPaLAを用いてトランスオミックス解析をしたところ、PPARa経路のみが同定された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
パーキンソン病患者における自律神経障害に起因する臓器連関現象を明らかにし、報告した点については想定以上に進捗している。一方、臨床研究については研究代表者が2023年1月より筑波大学に異動したため、新たに倫理委員会申請などを行わなければならず、患者リクルートに時間を要しているため。既に筑波大学附属病院での倫理委員会申請中であり、対応は可能である。
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今後の研究の推進方策 |
パーキンソン病患者に対する臨床研究、それに基づく臨床データ解析を進め、同時に腸内細菌叢評価、血清ポリアミン代謝産物評価などを進める。
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