研究課題/領域番号 |
22K19517
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岸川 孝弘 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (00724171)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 膵癌 / 二重鎖RNA / ノンコーディングRNA / 非コードRNA / 細胞外小胞 / マウスモデル |
研究開始時の研究の概要 |
核酸が二重らせん構造を取ることは周知であるが、近年種々の病態学的条件下においてその立体構造が変化することが分かってきた。この構造変化はシグナル伝達の起点となって細胞の増殖や発癌に影響すると考えられており、新規の疾患因子として注目され始めている。本研究では膵癌において構造変化を起こした核酸が増加していることに着目し、変異や発現量の変化ではない、核酸の「構造変化」の生物学的意義を解明することを目指す。
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研究実績の概要 |
今年度は、以下の3点について検討を行った。 ①ヒト膵癌検体を用いて、Z型核酸を特異的に検出する抗体による免疫染色を行った。すでに結果の得られているマウス膵癌モデルの検証結果と同様に、ヒト膵癌組織でも正常組織と比較してZ型核酸の発現が亢進していることを示した。 ②膵癌細胞株を用いて、Z型核酸を強制発現させることによる表現型の変化の観察を行った。まず人工Z型核酸を細胞内に導入する系の構築を試みたが、Z型核酸の細胞内での安定性について課題が残り、有意な表現型の変化を観察することができなかった。しかし、Z型核酸の産生を誘導する薬剤を投与することによって、膵癌細胞株においてネクロプトーシスシグナル経路が亢進することを示した。しかし細胞増殖には変化が認められず、癌細胞株にはネクロプトーシスを回避する機構が存在していることが示唆された。 ③Z型核酸に特異的に結合するタンパク質ドメイン(Zaドメイン,Zbドメイン)を有するベクターの作成を行った。このベクターを細胞株に発現させることで、細胞中のZ型核酸をpull downさせるアッセイ系を構築するための条件検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
臨床検体の評価を含めて、膵癌におけるZ型核酸発現の重要性についての知見を蓄積している。人工Z型核酸の細胞内での安定性について課題が残るが、修飾を加えた核酸での検討を準備しており、下流のシグナル系についての検証系は構築できている。
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今後の研究の推進方策 |
人工Z型核酸を導入する系について来年度以降さらなる条件検討が必要である。 また膵癌細胞株由来の細胞外小胞を抽出し、Z型核酸の検出を試みる。
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