研究課題/領域番号 |
22K19526
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
坂田 泰史 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (00397671)
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研究分担者 |
辻川 和丈 大阪大学, 大学院薬学研究科, 教授 (10207376)
肥後 修一朗 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任准教授(常勤) (00604034)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 不整脈原性心筋症 / バイオマーカー / iPS細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
不整脈原性心筋症は、命にかかわる不整脈がおきたり、心臓の収縮する力が低下する難病で、主に細胞と細胞をつなぐ介在板の遺伝子に生じた変化が原因となります。拡張型心筋症と診断された場合でも、その原因が不整脈原性心筋症であることがありますが、心臓超音波などの画像診断では、その判別が困難です。本研究開発では、患者さんから作成したiPS細胞から心筋細胞を再現し、タンパク質などの解析を行うことで、不整脈原性心筋症を早期に診断できるバイオマーカーを開発することを目的とします。
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研究実績の概要 |
不整脈原性心筋症症例からiPS細胞を樹立し、ゲノム編集技術を用いて、発症原因であるPKP2遺伝子変異を精密に改変した細胞を作製した。作製したiPS細胞セットをシート状に拍動する心筋細胞に分化させ、機能を解析した結果、PKP2タンパク質の減少に伴い、収縮力が低下すること、デスモゾームの形成異常が生じることを見出し、さらに、ゲノム編集を用いて、生きた細胞においてデスモゾーム動態を可視化するiPS分化心筋細胞を構築した。これらiPS細胞由来分化心筋細胞を用いて、メタボローム解析を実施し、代謝産物に関する予備データを得た。 デスモグレイン2欠損心筋症症例から樹立したiPS細胞、及びストップゲイン変異をゲノム編集により修復したiPS細胞を樹立し、樹立したiPS細胞から分化させた心筋細胞から三次元組織化リングを作成した。これら組織化したiPS分化心筋の培養上清を用いて、ショットガン解析による質量分析を行い、分泌タンパク質に関する予備データを得た。 致死性不整脈を合併し、補助人工心臓が必要な重症心不全に至ったベッカー型筋ジストロフィー女性キャリア症例を見出し、心筋組織病理標本を用いた解析、遺伝解析、iPS細胞から分化させた心筋細胞を用いた機能解析を行った。解析の結果、ジストロフィン遺伝子変異に加え、コラーゲンの生合成に関わるPLOD3の遺伝子バリアントが存在することで、心臓組織の収縮力に加えスティフネス(硬さ)を低下させ、重症化に関与していることを見出し、論文報告した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デスモグレイン2欠損心筋症を同定するためのバイオマーカー探索のため、三次元組織化リング培養上清を用いたショットガン解析によるプロテオミクス解析を行い、予備データを取得した。PKP2欠損による代謝異常解明を目的に、アイソジェニックiPS分化心筋を用いたメタボローム解析を実施し、代謝産物による予備データを得た。
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今後の研究の推進方策 |
デスモグレイン2欠損心筋症、プラコフィリン2変異不整脈原性心筋症から樹立したiPS細胞、及び精密にアレルを改変したiPS細胞を用いて、分化心筋を活用したプロテオミクス解析、メタボローム解析を実施する。2023年度は、更に解析数を増やし、疾患サンプルにおいて変化するバイオマーカーを見出すことを目指すとともに、液体クロマトグラフ質量分析計を用いたバイオマーカーのバリデーションを行う。
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