研究課題/領域番号 |
22K19528
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小玉 尚宏 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (10623275)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | HBV / マウスモデル / T細胞疲弊 / B型肝炎 / 免疫疲弊 |
研究開始時の研究の概要 |
Hepatitis B virus(HBV)は世界最大規模のウイルス感染症であり、現行治療では体内からのウイルス排除は困難である。HBVによる疲弊誘導を介した宿主免疫系からの逃避は慢性化の要因であり、根治を目指した創薬の重要な標的となりうる。しかしHBV感染初期から慢性化に至る過程において、経時的に宿主免疫動態変化を観察できる動物モデルが存在しないため、HBV免疫逃避機構は未だ不明な点が多い。本研究はHBVによる慢性肝炎・肝線維化・肝発癌そしてHBV特異的細胞傷害性Tリンパ球の免疫疲弊が生じる新たな動物モデルを用いて、その解明と体内からのHBV完全排除を目指した新たな治療法の開発を目的とする。
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研究実績の概要 |
本研究は、Hepatitis B virus(HBV)による慢性肝炎・肝線維化・肝発癌、そしてHBV特異的細胞傷害性Tリンパ球(CTL)の免疫疲弊が生じる新たな動物モデルを用いて、免疫疲弊誘導を介したHBV生存戦略の分子機序を解明し、HBVの体内からの完全排除を目指した新たな治療法を開発することを目的とした。ニチシノン補給に肝細胞の生存を依存するフマリルアセト酢酸ヒドラーぜ(FAH)欠損マウス(BL6由来)の肝臓に、FAHのcDNAとHBVをタンデムに組み込んだSleeping Beauty(SB)トランスポゾンベクターを尾静脈急速静注法(HVTi法)で導入し、ニチシノンを中止することで、免疫能を保持しながらHBVが肝細胞から排除されない新たなB型慢性肝炎モデルマウスを作出した。このマウスでは、HBVの肝内持続感染・ウイルス血症とそれに伴う慢性肝炎が10ヶ月以上持続し、CTLが経時変化と共に疲弊し、それに比例してウイルス血症の増悪が認められ、B型慢性肝炎患者における免疫動態が模倣されていた。同マウスの肝臓から単核球を単離しシングルセルRNA-seq解析を実施した。その結果、HBVマウスでコントロールマウスと比べて、CTLクラスターの中で、PD-1高発現の疲弊CTLの頻度が有意に増加していた。また、HBVマウスではNK細胞の活性化並びにマクロファージの機能異常が認められた。以上より、これらの免疫異常がHBV持続感染並びに慢性肝障害に関与している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定されていたマウスモデルを用いた肝内免疫動態解析が終了しており、順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
B型肝炎マウスモデルを用いて、免疫細胞の除去並びにIFNなどの既存の治療を実施し、ウイルス量の変化や免疫動態の変化を解析することで、免疫疲弊誘導を介したHBV生存戦略の分子機序を解明する。
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