研究課題/領域番号 |
22K19534
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分53:器官システム内科学およびその関連分野
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
大石 由美子 日本医科大学, 大学院医学研究科, 大学院教授 (80435734)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | マクロファージ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、マクロファージを機能と相互作用の観点から分類し、マクロファージの時空間多様性を軸とした細胞間相互作用が組織炎症を制御し、修復と再生を実行する分子機序を明らかにする。具体的には、1細胞間相互作用の時空間解析、マクロファージが筋衛星細胞や線維芽細胞の活性化を制御する分子機構の解明を通じ、マクロファージの多様性が、細胞間相互作用ネットワークを介して組織炎症を制御し、修復と再生を実現する分子機序を明らかにする。これらの研究を通じ、筋損傷後の再生不全に対する治療・予防策の開発に向けた知識基盤を確立する。
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研究実績の概要 |
骨格筋は運動器として機能するのみならず、物理的傷害や代謝変動に対して応答し、個体の恒常性を維持する。筋肉が損傷を受けると、炎症、筋再生と組織修復とが同時に起こり、これら3つの機序が時空間的に連携し、協調して制御されることが、恒常性の回復に必須である。ところが、筋損傷後の修復において、炎症・再生・修復を実行する細胞間連携のネットワークとその制御機構は明らかではない。 私はこれまでに、傷害応答の過程でマクロファージは経時的に機能を変えて炎症の進行と収束・組織修復を制御することを見出した。また、予備的なシングルセルトランスクリプトームの解析から、損傷後の骨格筋には5種類もの未知のマクロファージサブタイプが集結し、他の細胞種とのコミュニケーションを進めることを見出している。 これらの検討結果を踏まえ、マクロファージの時空間多様性の拡大が、筋衛星細胞や線維芽細胞との細胞間連携を介して組織の適切な修復を主導するのではないかと着想した。 本研究では、①筋再生・修復を主導する新規マクロファージサブタイプの同定と分類、②1細胞間相互作用の時空間解析、③マクロファージが筋衛星細胞や線維芽細胞の活性化を制御する分子機構の解明を通じ、マクロファージの多様性が、細胞間相互作用ネットワークを介して組織炎症を制御し、修復と再生を実現する分子機序を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度には、若齢及び2歳齢の加齢マウスの筋肉をカルジオトキシンを用いて傷害し、間質細胞を分取してシングルセルトランスクリプトーム解析を実施した。損傷後に骨格筋に集結するマクロファージを、機能と細胞間相互作用の観点から新たに分類し、新規に8つのサブタイプを同定した。これらのマクロファージと筋衛星細胞、線維芽細胞、内皮細胞との相互作用解析を進め、筋損傷後の再生の過程で筋衛生細胞と特に強く相互作用する一群「筋再生マクロファージ」を同定した。 「筋再生マクロファージ」は、Ly6C-CD206dim の集団としてフローサイトメトリーで分取することができた。また、「筋再生マクロファージ」はHGFを産生し、筋衛生細胞の増殖を促すことによって筋再生を進めると考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
前年度までに新規に同定した「筋再生マクロファージ」の由来を明らかにする研究を推進したい。カルジオトキシンを用いて筋肉を傷害すると、傷害後2-3日目に損傷部位に占めるマクロファージ数はピークを迎え、その数は非損傷時の1000倍にも達する。「HGF+筋再生マクロファージ」の筋損傷部位への集積も、傷害後2-3日目にピークとなる。これまでの予備的検討から、傷害部位には多数のKi67陽性マクロファージが観察されることから、傷害部位においてマクロファージが増殖している可能性が高い。そこで、HGF+筋再生マクロファージは、炎症性単球由来マクロファージの増殖によるものか、あるいはレジデントマクロファージの増殖によるものかを明らかにする。
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