研究課題
挑戦的研究(萌芽)
本研究の目的は、肝グルコース取り込みに伴う遺伝子転写制御とその破綻の解明である。肝グルコース取り込みは、脂肪合成酵素やヘパトカインなどの遺伝子転写を介して、肝臓糖脂質代謝を制御する。また、肥満・インスリン抵抗性では、肝グルコース取り込みに伴う肝臓遺伝子転写制御も障害される。本研究において、肝グルコース取り込み制御メカニズムとグルコース応答性遺伝子転写とのシステム連関について、肝グルコース取り込み制御分子の変異マウスを用いて解明する。
肝臓はグルコースを取り込み、肝臓代謝のみならず、遺伝子転写から他臓器との連関などのグルコース応答を惹起する。過栄養・肥満では、肝グルコース応答が障害され、その障害は耐糖能障害・インスリン抵抗性の病因となる。本研究では肝グルコース応答の制御メカニズムとしてGck調節タンパク質(GKRP)の役割の解明に取り組んだ。GKRPは過栄養・肥満によって126番リジン残基(K126)アセチル化が増加する。GKRPのK126R変異ノックインマウスは、肝糖代謝に明らかな変化を示さないものの、トランスクリプトーム解析では遺伝子発現変化を来した。GKRPが新規なグルコース応答制御分子である可能性が示唆された。
肝グルコース応答障害は、耐糖能障害からインスリン抵抗性・脂肪肝などの様々な生活習慣病の病因となる。肝グルコース応答の制御分子としてGckが知られてきたが、Gckを標的とした生活習慣病治療薬の開発は十分な成果が得られていない。本研究において、新規な肝グルコース応答のメカニズム分子候補としてGKRPを見出すことは、生活習慣病の新規治療標的の解明に繋がる。さらに、生活習慣病の発症と増悪において、肝グルコース応答とその障害が果たす役割の解明へと繋がる。
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