研究課題/領域番号 |
22K19549
|
研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
|
配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分54:生体情報内科学およびその関連分野
|
研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
梅本 晃正 熊本大学, 国際先端医学研究機構, 特任准教授 (50620225)
|
研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
|
キーワード | 造血幹細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では「造血幹細胞のサイトカインの応答性を既定するクロマチン動態の制御機構」を明らかにすることを目的とするため、造血幹細胞におけるTPOの相反する2面的効果と幹細胞分画内のクロマチン動態の不均一性に着目し、サイトカイン刺激時に「異なるクロマチン動態が異なるサイトカイン応答に導く」ことを明らかにし、同一の刺激下でも特別なシグナル制御に依存せずに幹細胞個々が異なる運命に導かれる仕組み(幹細胞運命決定機構)を提示する。
|
研究実績の概要 |
Thrombopoietin (TPO) は JAK-STAT 経路の活性化を介して、血液細胞の源である造血幹細胞の自己複製を誘導するサイトカインとして極めて有名である一方、巨核球・血小板への分化誘導因子としても知られている。これまでに、幹細胞分画中のEPCR 強陽性細胞を TPO 存在下で培養した時は幹細胞表現系を比較的維持するが、弱陽性細胞は分化マーカーである CD48が陽性の細胞(前駆細胞)へ分化することを見出している。また、EPCR 強陽性幹細胞は弱陽性細胞と異なり、TPO を含む条件下で EPCR 強陽性細胞と弱陽性細胞の両亜集団を産生する。当該年度はEPCR 強陽性幹細胞を低グルタミン条件下で培養すると EPCR 弱陽性幹細胞の産生が抑制され、EPCR 強陽性の表現型が維持されることを確認した。また、低グルタミンによる EPCR 強陽性維持効果は、グルタミンの代謝物であり、ヒストン脱メチル化酵素の補酵素でもある α-ケトグルタル酸 (αKG) 添加により減弱することも確認した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
EPCR強陽性から弱陽性に移行する機構にグルタミン代謝が関係していることを見出した。この機構は造血幹細胞におけるTPOの相反する作用を説明するための大きな手掛かりとなる可能性を秘めている。
|
今後の研究の推進方策 |
当該年度は、EPCR強陽性から弱陽性に移行する機構、即ちTPOの相反する作用を生み出す要因として、グルタミン代謝が関係していることを見出した。従って、今後はグルタミン代謝に着目し、グルタミン代謝経路のいずれ代謝反応が EPCR強陽性の維持、ないし分化に関わっているかを検討する。さらに、その当該反応が幹細胞のクロマチン動態に及ぼす影響を検討する。
|