研究課題/領域番号 |
22K19559
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
佐藤 太郎 大阪大学, 医学部附属病院, 特任准教授 (40368303)
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研究分担者 |
江口 英利 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (90542118)
石井 秀始 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任教授(常勤) (10280736)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 膵がん / 核酸創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
全18癌腫の中で膵がんの予後はワースト疾患の1つである。その克服のためには、治療抵抗性に陥った膵がんを根絶化できる画期的な治療法の開発が喫緊焦眉の国民的課題である。本研究では、CAFに特異的なニコチンアミド代謝を制御し、「兵糧攻め」から膵がんの治療抵抗性を「リプログラミング」するコンジュゲートを迅速なスクリーニングにより開発し、いち早く臨床応用を目指していく計画である。その成果は、難治がんの間質を標的とした新たな「がん兵糧攻め」のシーズを具体的に提示でき、膵がんの治療戦略を大きく方向転換できると期待される。なお、本研究に関連した研究倫理の手続きは申請し承認が得られている。
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研究実績の概要 |
厚生労働省関係の統計によれば、膵がんで年間42千人が死亡し5年生存率は22%であり、脳腫瘍(多形膠芽腫)や悪性中皮腫等とともに膵がんは予後不良の難治がんの代表格である。 ステージI(早期段階の膵がん)の5年生存率は60%であるが、この段階で発見させることは5%程である。残り95%のステージが進むにつれて(進行期)、概して予後不良で5年生存率は20%である。 このような現状における膵がんの医療においては、全膵がん患者の大部分(95%)を占める標準的な治療に対して抵抗性を示す難治な膵がんに対して画期的な医療を創出することが喫緊薔薇の国民的課題となっている。 本研究では、課題の具現化に向けて、標準的な治療後の膵上皮がん細胞を特異的に「兵糧攻め」して根絶化するための最適リードコンジュゲート化合物(FAP-NNMT-i)を作出し、前臨床試験(薬効および安全性)のProof-of-Concept (POC)を確保、スピード感を持って膵がん予後改善の実現化にむけて研究を進めてきているところである。 本研究では、シングル細胞解析の予備的な検討から、膵がんの間質では、特性が異なる複数の細胞集団とその表面抗原を明らかにしているので、それらを指標とした治療分子の開発も進めている。さらに、膵がんの間質の特性に着目したシーズの確定と知財化(特許申請)に関しても進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの私たちの基礎研究を基にして、シングル細胞解析、代謝解析、細胞実験の情報を統合して判断すれば、最も有望な標的経路はワンカーボン代謝の1つであるNNAMが候補として上がっている。 本研究では、この酵素を中心に、標的シーズとしての適性をメチルトランスフェラーゼ(MT)20個を対象にして網羅的に検討した。その結果、確かにNNAMががん細胞だけでなくがん免疫においても重要であることを確信した。 そこでNNAMが関わる酵素経路のリード化合物として市販FAPI-04を購入し、大阪大学薬学系研究科と協働しRNA干渉でNNMT抑制する核酸医薬品をコンジュゲートした。候補20個から選択し、前臨床試験として膵がん細胞スフェアとCAF三次元培養、手術切除サンプルを免疫不全マウスに移植したPDX-CAFマウス、KRAS/P16INK4A遺伝子改変自然発がんマウスを用いて、FAP-NNMT-iの薬効および安全性を検討した。「兵糧攻め」から膵がんを「リプログラミング」する抗腫瘍効果をパネル検査で検討した。免疫不全マウスにおける検討とともに、免疫が正常に近いマウスを用いて、同種移植、同系移植の実験をすすめた。 この実験系では、マウスの免疫が残存している状態で間質の線維芽細胞の関与や、線維芽細胞とリンパ球の間の細胞間コミュニケーションを指標として、シーズの最適化、さらには知財化を進めた。 研究分担者において手術材料の準備と前臨床試験の評価、合成展開と薬効安全性、シングル細胞によるCAF情報解析簿作業と協働した。 リード化合物の知財化と企業導出と社会実装では大阪大学未来医療センターと協働していく計画である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究の成果に基づいて、治療の具現化を促進するために、現在の臨床試験および前臨床試験で得られたシーズを加えながら開発を加速化し、社会実装を加速させたいと考えている。 CAF標的化としては、正常の線維芽細胞とCAFの相違は、NFk等の炎症応答、PDL1等のT細胞の免疫制御、嫌気性解糖系のような代謝特性、血管脆弱性としてこれまでに私たちを含む内外の研究努力が投下されてきたが、特異的に峻別することは困難であった。ところが、2015年以降のシングル細胞解析技術の発展により、膵がんにおいてもCAFの細胞系譜を明らかにできるようになった。CAFでは特異的に細胞表面蛋白FAPの発現が高く、トランスフェラーゼNNAMが顕著に高い発現を示た。2019年の前臨床試験で、FAPI-04(FAP-i)の有効性が示されたことから、そのコンジュゲートを医薬品として迅速に実現できる。核酸医薬品の開発は大阪大学が特異な分野である。核酸医薬品の開発としては、大阪大学の創薬プラットフォームを活用し、FAPI-04のコンジュゲート化合物をsemi-HTSで選択する計画である。 この実験には、知財化を目指して、FAP-iカルボキシル基とNNMTとの合成組み合わせをシーズとして作成していく計画が含まれる。 膵がん細胞スフェアとCAF三次元培養により細胞死を評価するin vitro系、マウスのin vivo系は整っている。 臨床応用に向けて、阪大未来医療センターの支援による前臨床段階からのシーズマッチングを効果的に進める。さらに大阪大学の産学連携プラットフォームを活用して、効果的な企業誘致とシーズの実現化に向けて拍車をかけていく計画である。
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