研究課題/領域番号 |
22K19567
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分55:恒常性維持器官の外科学およびその関連分野
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
大塚 隆生 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (20372766)
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研究分担者 |
谷本 昭英 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 教授 (10217151)
杉浦 剛 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40322292)
蔵原 弘 鹿児島大学, 医歯学域医学系, 准教授 (70464469)
下之薗 将貴 鹿児島大学, 鹿児島大学病院, 医員 (40814322)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 膵癌 / 発癌 / 早期診断 / マイクロバイオータ / 細菌叢 / IPMN / マイクロバイオ―タ / ゲノム |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は生活様式の変化に伴い本邦でも増加してきており、食生活を含む生活環境の影響を受けるマイクロバイオ―タに注目した本研究は膵癌発生の根本的問題を解決する糸口に繋がる学問的意義とともに、発症を未然に防ぐ予防医学へ発展させ、広く世界の健康増進に寄与する社会的意義も有する。また十二指腸液をliquid biopsy検体として臨床応用を目指しているのは世界的にも代表者が関わるグループのみであり、既に簡便な採取法も確立している点で独創性も高い。膵病変のマイクロバイオ―タならびにその侵入経路と発癌機序解明、さらに早期診断に向けた臨床応用を包括的に扱った研究はこれまでなく、極めて挑戦的な研究である。
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研究実績の概要 |
IPMNの網羅的遺伝子変異解析が世界的に行われるようになり、そのなかでKLF4変異が良性のIPMNに高頻度に認められることが明らかとなった(Gut 2021; 70, 928-939)。一方、我々も併存膵癌が良性IPMNに高頻度に併存することを報告しており(Ann Surg 2013; 258, 141-151.)、KLF4変異が併存膵癌発生を予測するIPMNの新規分子マーカーとなりうるのではないかという仮説を立てた。 IPMNならびに同一患者の膵内に発生した併存膵癌の切除標本のパラフィン包埋切片を用いてDNAを抽出し(n=13)、PCRで増幅したDNAライブラリーをIPMNならびに併存膵癌から個別に作成した。まずスクリーニングとして5例のIPMN併存膵癌患者の遺伝子変異をIPMNならびに併存膵癌から個別に次世代シークエンサーで解析し、併存膵癌合併IPMNのみにKLF4遺伝子変異を認めることを確認した。コントロールは併存膵癌非合併IPMN (n=37)である。このライブラリーのDNA量測定と品質チェックも行ったうえで50名の患者の切除検体を選択し、ターゲットを絞った遺伝子変異(KRAS、GNAS、KLF4の3遺伝子)をより詳細に解析した。 結果としてKLF4遺伝子変異が併存膵癌合併IPMNにおいて併存膵癌非合併IPMNより高頻度に検出され[38% (5/13) vs. 4% (1/24), p=0.01]、IPMNの中でも特に膵癌を合併しやすい高リスク群の新規分子マーカーとなる可能性が示唆された。一方、これまで併存膵癌を合併しやすいIPMNの分子マーカーとして期待されていたGNAS変異 [62% (8/13)vs. 42% (10/24), p=0.42]、KRAS変異[69% (9/13) vs. 58% (14/24), p=0.77]は両群間で差を認めなかった。 なお、いずれの遺伝子変異も予後への影響を認めなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ゲノム解析は終了し、現在論文投稿中である。
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今後の研究の推進方策 |
KLF4遺伝子変異をきたす特異的細菌感染があるとの仮説の元、遺伝子変異解析を終えたIPMNならびに併存膵癌のパラフィン包埋切片からマクロダイセクションでDNAを抽出し、マイクロバイオーム解析を行い、特異的遺伝子変異との対比を行う。
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