研究課題/領域番号 |
22K19596
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大須賀 穣 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (80260496)
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研究分担者 |
廣田 泰 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40598653)
藍川 志津 東京大学, 医学部附属病院, 特任研究員 (80884577)
赤枝 俊 東京大学, 医学部附属病院, 届出研究員 (10898084)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 子宮内膜 / ヒストンメチル化 / 活性化胚盤胞 / 着床能 / 着床不全 / エピゲノム調節 / 胚移植反復不成功 / ヒストン修飾 / エピゲノム / 胚浸潤 / 子宮内膜間質 / 脱落膜 |
研究開始時の研究の概要 |
体外受精・胚移植の反復不成功、いわゆる着床障害は生殖医療の大きな課題である。着床の機序は未だ不明であり、着床障害の基礎研究は喫緊の課題である。本研究の目的は、子宮内膜のヒストン修飾による胚着床調節機構を明らかにすることである。ヒト子宮内膜とマウスモデルを用いた解析を有機的に繋げ、胚着床の科学的理解と子宮内膜の着床能バイオマーカー確立を目指す。生物学・臨床医学のいずれの側面でも未解明な胚着床において子宮内で起こる子宮のエピゲノム変化の役割の解明し、ヒト着床期子宮内膜のバイオマーカーを同定する。本研究の推進により、新たな着床障害の治療法開発への発展も期待できる。
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研究成果の概要 |
子宮内膜のヒストン修飾による着床機構を調べた。着床期ヒト子宮内膜において、H3K27me3の標的遺伝子群の発現上昇が着床不全群で生じた。H3K27me3修飾酵素EZH2がヒト着床不全群で低下した。着床直後のマウス子宮内膜上皮はH3K27me3や細胞増殖に関連する遺伝子を発現していた。H3K27me3経路とその調節を行うPRC2に関連する遺伝子が着床不全群で低下した。子宮特異的EZH2欠損マウスは着床期子宮内膜の細胞増殖異常と胚浸潤障害を伴う着床不全を呈した。マウス着床期子宮内膜では、Ezh2がH3K27me3修飾を介し、細胞周期遺伝子の特に有糸分裂に関わる遺伝子発現を抑制した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
生物学としても臨床医学としても未解明な着床に着目し、子宮内で起こる子宮のエピゲノム変化の意義を示した。特に、「子宮内膜のエピゲノム調節機構による胚着床」は世界的にも十分に検証されていない新しい発想であったことから、今まで解明されていなかったヒト着床期子宮内膜の機能的マーカーを新規に見出すことができた。本研究の成果により、子宮内膜のエピゲノム調節が子宮内環境を整え、子宮と胚の相互作用による胚着床の成立を可能にしていることが明らかとなった。本研究により着床の科学的理解が促進され、子宮内膜の着床能バイオマーカーを見出すことができた。今後の研究により、着床不全の治療法開発への進展が大いに期待される。
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