研究課題/領域番号 |
22K19597
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山岨 達也 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (60251302)
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研究分担者 |
鴨頭 輝 東京大学, 保健・健康推進本部, 助教 (30807152)
浦田 真次 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (60849404)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 有毛細胞 / 再生 / ナノキャリア / 神経栄養因子 / シナプス / 内耳 / 遺伝子導入 |
研究開始時の研究の概要 |
mRNAを細胞内に送達するとタンパク質が発現分泌され、細胞機能を体内で直接制御することが期待される。ただ、mRNAを安定な形で細胞内に送り込むことは困難であったのでそれを内包するナノキャリアを開発した。さらにsiRNAを内包して標的細胞で効果を得るナノキャリアも開発する。蝸牛有毛細胞は再生しないため、重度難聴の治療には有毛細胞の再生医療が必要である。本研究では支持細胞分裂から形質転換を介した有毛細胞の再生誘導、神経線維の変性予防と再生誘導を目的にターゲットとなる遺伝子のmRNAやsiRNAを内包したナノキャリアを蝸牛に投与し、広範な有毛細胞障害後の機能および組織再生に挑戦する。
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研究実績の概要 |
mRNAを細胞内に送達するとタンパク質が発現分泌され、細胞機能を体内で直接制御することが期待される。ただ、mRNAを安定な形で細胞内に送り込むことは困難であったのでそれを内包するナノキャリアを開発した。さらにsiRNAを内包して標的細胞で効果を得るナノキャリアも開発する。蝸牛有毛細胞は再生しないため、重度難聴の治療には有毛細胞の再生医療が必要である。本研究では支持細胞分裂から形質転換を介した有毛細胞の再生誘導、神経線維の変性予防と再生誘導を目的にターゲットとなる遺伝子のmRNAやsiRNAを内包したナノキャリアを蝸牛に投与し、広範な有毛細胞障害後の機能および組織再生に挑戦する。 まずは有毛細胞をほぼすべて安定的に死滅させる手技を開発した。従来はモルモットの蝸牛有毛細胞をエクタクリン酸(50mg/kg内頚静脈に静注)とカナマイシン(400mg/kg筋注)により傷害する手法を用いてたが、この手法では内頸静脈を確保するために麻酔による切開手術が必要であり、動物が侵襲のため致死に陥ることなどのリスクを回避するため、心腔内注入の手法を開発した。障害4日後に聴覚機能を聴性脳幹反応(ABR)により調べ、すべての動物で重度難聴を呈することを確認した。現在、蝸牛上皮を採取し、有毛細胞マーカー(myosin VIIa)、幹細胞マーカー(SOX2)および核マーカー(DAPI)により組織学的に障害を解析中である。また、遺伝子発現の評価のためのmRNA定量を目的として、Cdkn1b (p27)及びAtoh1のプライマ等のqPCRの条件検討をHEI-OC1細胞株において行った。p27siRNAとAtoh1mRNA、BDNFmRNAについては東京医科歯科大学と打ち合わせを行い、その作成工程について検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
動物実験の手法、聴力解析、組織解析については手法を確立したが、p27siRNAとAtoh1mRNA、BDNFmRNAについてはまだ作成ができていない。
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今後の研究の推進方策 |
モルモットにエクタクリン酸(50mg/kg)を心腔内投与で投与し、1時間後にカナマイシン(400mg/kg)を筋注し、蝸牛有毛細胞をほぼ完全に死滅させる。4日後にABR測定後、p27siRNA、Atoh1mRNA、BDNFmRNAを単独、および同時に投与し、14日後にABRで聴力を測定、その後断頭し、蝸牛の組織解析を行う。蝸牛上皮を採取し、有毛細胞マーカー(myosin VIIa)および神経細胞マーカー(neurofilament 200)を染色して組織学的に解析する。有毛細胞や神経線維の再生傾向が認められた場合は、さらにシナプスについて GluR2 とCtBP2で染色する。 再生傾向が明らかになった場合は、蝸牛上皮の微細形態をSEMおよびTEMで観察し、エタクシリン酸とカナマイシン障害のみの群(コントロール)と比較する。また、この治療による組織再生の安定性について、さらに長期的な聴覚経過を測定して確認するとともに、長期経過後の組織変化こついても検証する。
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