研究課題/領域番号 |
22K19600
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
金 永輝 京都大学, 医生物学研究所, 助教 (90620344)
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研究分担者 |
池川 雅哉 同志社大学, 生命医科学部, 教授 (60381943)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 異所性骨化 / 空間的遺伝子発現解析 / イメージング質量分析 / 進行性骨化性線維異形成症 / エネルギー代謝 / 空間的トランスオミックス解析 |
研究開始時の研究の概要 |
異所性骨化(Heterotopic Ossification、HO)とは、生理的には骨が形成されない組織内に骨が形成される現象であり、その形成過程には起源細胞とマクロファージを中心とする炎症細胞の相互作用が重要である。本課題の目的は、空間的遺伝子発現解析とイメージング質量分析という革新的解析技術を駆使した空間的トランスオミクス解析により、起源細胞のエネルギー代謝のダイナミクスとマクロファージを中心とした炎症性ニッチとの相互作用を時空間的に明らかにすることである。得られた知見はエネルギー代謝を標的とした新規治療法の開発にも結びつく可能性がある。
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研究実績の概要 |
異所性骨化(HO)とは、生理的には骨が形成されない軟部組織内に骨が形成される現象である。外傷により局所的に形成する異所性骨化とは異なり、遺伝性疾患である進行性骨化性線維異形成症(FOP)はACVR1遺伝子変異(FOP-ACVR1)により、全身の線維性組織が進行性に骨化する疾患である。我々はFOP患者から樹立したiPS細胞を用いて、体外における実験系を確立し、HO誘発因子としてActivin Aの同定や治療のターゲットとしてmTORC1の阻害剤であるRapamycinを同定した。さらに、mTORC1の下流を解析する中、エネルギー代謝のリプログラミングが重要な役割を果たす知見を見出した。HO初期に浸潤する炎症性細胞、特にマクロファージも重要な役割を担うことが報告された。 本課題の目的は、薬剤誘導型FOP-ACVR1トランスジェニックマウスを用いて、空間的技術を駆使し、HO形成に寄与する起源細胞とマクロファージのエネルギー代謝のダイナミックや相互作用を解明することである。令和4年度は、空間的遺伝子発現解析(Visium)のプロトコールを確立した。具体的には、HE染色により凍結切片とFFPE切片を比較し、マウス骨格筋の分解能が高い画像を得るために、FFPE切片を採用した。また、接着テストとNGSライブラリ作製などの条件検討を行い、適切なプロトコールを確立した。また、エネルギー代謝状態を可視化するために、イメージング質量分析(IMS)を行った。得られたデータを元に、次元削減法(UMAP)の解析により、HO領域と正常領域の異なるパターンを可視化することができた。更に、遺伝子発現を単一細胞レベルで解析するために、マウスの骨格筋から単核細胞の単離からNGSライブラリ作製までのプロトコールを検討し、シングルセルRNAシーケンシングを行った。その結果を解析中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
空間的遺伝子発現解析のために、技術的困難である各ステップをクリアし、マウス骨格筋に適切なプロトコールを確立した。さらに、イメージング質量分析も成功しており、空間的代謝物の解析が可能になった。当初は計画していなかったが、単一細胞解像度での遺伝子発現情報も統合させるために、シングルセルRNAシーケンシングも行っており、計画通り順調に経過している。
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今後の研究の推進方策 |
令和5年度は前年度に引き続き、空間的遺伝子発現解析を修了させる。HOの前駆細胞の形態・増殖・遺伝子発現パターンの変化を経時的に解析する。同じように、マクロファージの各サブタイプの増殖・遺伝子発現パターンを経時的に解析する。イメージング質量分析のデータからエネルギー代謝に関連する代謝物を抽出し、HO形成の各段階における前駆細胞とマクロファージのエネルギー代謝状態を調べる。シングルセルRNAシーケンシングの解析を引き続き行い、各細胞種の割合・遺伝子発現の変化を解析する。これらの解析結果を統合させることで、FOP特異的エネルギー代謝を標的とした根拠を固めると共に、治療薬投与の適切なタイミングに関する知見を得る。
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