研究課題/領域番号 |
22K19602
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
島田 昌一 大阪大学, 大学院医学系研究科, 教授 (20216063)
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研究分担者 |
中村 雪子 大阪大学, 大学院医学系研究科, 特任講師 (90548083)
小山 佳久 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40397667)
臼井 紀好 大阪大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (00784076)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
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キーワード | 慢性疼痛 / 運動 / セロトニン / 5-HT3受容体 / 疼痛 / 大脳辺縁系 / 創薬 |
研究開始時の研究の概要 |
運動は慢性疼痛、うつ病、認知症など脳神経系の疾患に優れた効果を示すことが知られている。慢性疼痛の中には繰り返す痛みの経験から生じる痛みの記憶が条件づけとなり悪化するものがあり、元々の疼痛の原因である組織損傷が治った後でも、痛みが継続し改善しない場合がある。我々は、痛みの原因が除去された後でも条件づけによって痛みが続く実験モデルを開発した。また、運動による抗うつ効果と運動による鎮痛効果には共通したメカニズムが存在することを我々は見出した。本研究は、この様な条件づけによって増強する疼痛に関わる神経回路とそのメカニズムを明らかにすると共に、条件づけによって生じる難治性の痛みの治療薬の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
運動は糖尿病、高脂血症、高血圧、骨粗鬆症など全身性の疾患に効果があるばかりでなく、慢性疼痛、うつ病など脳神経系の疾患に対しても優れた効果を示すことが知られている。疼痛に関して、元々の疼痛の原因である組織損傷が治った後でも、痛みが継続する難治性の慢性疼痛が存在する。これらの疼痛の一因として、脳における痛覚情報伝達系の異常が報告されている。また、これらの疼痛に対しては、既存の鎮痛薬で効果を示すものが少なく、運動療法が有力な治療手段の一つとなっている。しかしそのメカニズムの詳細については未だ明らかでない点が多い。我々はこれまで、運動が脳に与える影響について研究を行ってきた。運動が脳に与える影響は多面的に研究されていて、多くの経路が関与していることが知られているが、これらの中でも特に情動機能に影響を及ぼす系では、セロトニンを介する経路が重要な役割を果たしている。我々のこれまでの研究から、難治性疼痛に効果のある運動も脳内のセロトニン神経系を介した効果ではないかと考えている。運動により脳内のセロトニンの濃度は上昇する。我々は以前の研究で、運動により増加するセロトニンが、5-HT3受容体を介して脳に影響を与えることを示した。本年度は、脳の痛覚情報伝達系の異常が原因と考えられる難治性疼痛のモデルマウスを作成し、この5-HT3受容体の活性化が、この中枢性疼痛に対して、鎮痛効果を示すことを明らかにした。また、痛覚の情動成分と関係する前帯状回が5-HT3受容体活性化による鎮痛効果と密接に関係していることが分かった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
我々はこれまで、運動により増加するセロトニンが、5-HT3受容体を介して脳に影響を与えることを示してきたが、本年度において、脳の痛覚情報伝達系の異常が原因と考えられる難治性疼痛のモデルマウスを作成し、この5-HT3受容体の活性化が、この中枢性疼痛に対して、鎮痛効果を示すことを明らかにした。また、痛覚の情動成分と関係する前帯状回が5-HT3受容体活性化による鎮痛効果と密接に関係していることを示した。これらの理由により、おおむね順調に研究が進んでいると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
1)運動による疼痛抑制モデルの検討:様々な疼痛モデルを作製し、ランニングホールにより自発運動をさせたマウスと運動をしていないマウスを用い、運動による疼痛緩和効果を疼痛の種類により比較する。急性疼痛としてホルマリンの足底注射モデル、慢性疼痛として条件づけによる疼痛モデルなど各種疼痛モデルを用い、von Freyテストや痛みの行動試験などで評価する。また、運動がどの様な種類の疼痛に対して強い効果を示すかを比較検討する。 2)運動による疼痛抑制が脳内のどの部位で起こるのか作用部位の特定:マウスに痛みを惹起した際にどの部位が活性化しているのか、運動による疼痛抑制効果は脳内のどの部位に作用しているのかをc-fosやArcなどの神経活動マーカー遺伝子を用いて、免疫組織化学やin situ hybridization法を用いて網羅的の脳全体を解析する。また、運動が影響を示す部位と5-HT3受容体の分布を比較検討する。 3)運動による疼痛抑制に対する5-HT3受容体の関与(5-HT3受容体ノックアウトマウスを用いた解析):運動による疼痛緩和作用が5-HT3受容体を介して生じるのかを解析する。5-HT3受容体の遺伝子欠損マウスを用いて運動による鎮痛効果がこのノックアウトマウスではキャンセルされるのかを検討する。 4)様々な疼痛モデルに対する5-HT3受容体アゴニストの鎮痛効果の解析:各種疼痛モデル(ホルマリン注射モデル、線維筋痛症モデル、神経障害性疼痛モデル、条件づけによる疼痛モデル、carrageenan注射モデルなどに5-HT3受容体アゴニストを投与し、それぞれの鎮痛効果の程度を観察し、運動による疼痛緩和の結果と比較する。
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