研究課題/領域番号 |
22K19604
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分56:生体機能および感覚に関する外科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
加藤 聖子 九州大学, 医学研究院, 教授 (10253527)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 子宮内膜 / 老化 / IL-17RB / IL-6 / IL-8 / IL-1β / オルガノイド / 子宮体癌 / 癌化 |
研究開始時の研究の概要 |
子宮体癌は最近増加しており、好発年齢は閉経前後である。これまでの知見から、加齢により子宮内膜細胞は、幹細胞性が低下し細胞老化が誘導されるが、遺伝子変異が生じた細胞を細胞死誘導や細胞競合により排除する機能が低下すると、異常細胞が蓄積し子宮体癌の発生に繋がるのではないかと考えた。本研究では、子宮内膜の老化とがん化を分けるメカニズムを、細胞死誘導や細胞競合に及ぼす影響の観点から解明する。
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研究実績の概要 |
子宮体癌は最近増加しており、好発年齢は閉経前後である。これまでの知見から、加齢により子宮内膜細胞は、幹細胞性が低下し細胞老化が誘導されるが、遺伝子変異が生じた細胞を細胞死誘導や細胞競合により排除する機能が低下すると、異常細胞が蓄積し子宮体癌の発生に繋がるのではないかと考えた。我々は以前、子宮内膜の老化により増加する遺伝子としてIL-17RBを、増加するサイトカインとして、IL-6,IL-8,IL-1βを報告した。本研究ではまず、不死化ヒト子宮内膜細胞株を用いてIL-17RB高発現細胞株を樹立した。IL-17Bをリガンドとして添加し、下流のシグナル経路を解析したところ、NFκBの転写能の亢進、リン酸化の亢進、核への局在化が認められた。SASP関連サイトカインの発現を検討したところ、IL-6,IL-8,IL-1βmRNAの発現亢進がみとめられた。以上のことより、IL17B/IL17RB シグナル はNF-κB経路を介してIL6,IL8,IL1βを発現することが示された。同意を得た患者から採取された正常子宮内膜の初代培養細胞を用いてFACSによりIL-17RB高発現細胞と低発現細胞を分取しオルガノイド形成をみたところ、高発現細胞は低発現細胞に比較し形成能の低下していた。正常子宮内膜の初代培養細胞のオルガノイド培養液に上記のサイトカインを添加しオルガノイド形成を検討したところ、IL-6,IL-8は形成能を増加させ、IL-1βは低下させた。また、SAβgal染色により老化細胞を解析したところ、IL-1βのみが老化細胞数の割合が増加した。以上より、老化により発現するIL-17RBのシグナルの下流で発現が増加するサイトカインはその種類により、内膜増殖に与える作用が異なることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
子宮内膜不死化細胞株を用いてIL17B/IL17RB シグナル はNF-κB経路を介してIL6,IL8,IL1βを発現することを示した。また、ヒト子宮内膜初代培養細胞で、IL17RB発現はオルガノイド形成能を低下させることを初めて明らかにした。さらにその下流で亢進するサイトカインIL6,IL8,IL1βの形成能や老化細胞誘導に違いがあることを示した。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、IL6,IL8,IL1βの老化や癌化に及ぼす影響や作用機序を解析していくとともにヒト子宮内膜初代培養細胞から分離したIL-17RB高発現細胞と低発現細胞を単一細胞解析し、下流の遺伝子発現の差を詳細に検討する。また、以前我々が老化で増加することを報告したマクロファージとの関連を検討する。
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