研究課題/領域番号 |
22K19609
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
横山 敦郎 北海道大学, 歯学研究院, 教授 (20210627)
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研究分担者 |
山本 悟 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10344524)
平田 恵理 北海道大学, 歯学研究院, 助教 (10722019)
高野 勇太 北海道大学, 電子科学研究所, 准教授 (60580115)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
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キーワード | カーボンドット / カーボンナノ物質 / リン酸カルシウム系セラミックス / 薬剤担持 / 抗菌性 / 人工骨 / 光応答性 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の意義は、未だ実用化されていない光照射による骨補填材からの多種の薬剤の放出制御であり、臨床的にはこの効果を利用した骨補填材(人工骨)の開発である。カーボンドット (CD)は、アミド化反応により化学修飾を容易に行うことが可能であることから、光応答性の高いCDに抗菌剤と成長因子を担持し、波長の異なる光の照射により、最初に抗菌剤を放出することで手術直後の感染を防ぎ、炎症の修復期には成長因子を放出することにより骨形成を促進することが可能となる。口腔粘膜は光を透過しやすく、波長の選択により埋植した人工骨表面上のCDからの薬剤放出は十分可能と考えられる。
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研究実績の概要 |
申請者らは、炭素原子のみから構成される新素材であるカーボンナノ物質(CNMs)を用いた生体材料の開発を目的に研究を行い、CNMsの高い骨組織適合性、チタンへの表面修飾、薬剤の担持の可能性について報告してきた。本研究においては、CNMsの一つであるカーボンドット (以下CD)に着目し、CDへの薬剤担持と光照射による放出制御、さらにリン酸カルシウムセラミックスへの担持を目的とした。CDは、その高い生体適合性と生分解性から、幅広い用途、特にバイオメディカル領域で新しい炭素材料としての応用が期待されている。本年度においては、光照射による薬剤の放出制御の方法を検討するため、CNMsの一種であるカーボンナノホーン (CNHs)にヒアルロン酸(HA)を介して抗菌剤であるミノサイクリン(MC)を結合し(CNHs-HA-MC複合体)、光照射によるMCの放出制御方法を開発し、抗菌性について検討した。CNHs-HA-MC複合体に近赤外光照射を行うことでMC単独と同等、もしくはより強い抗菌性を得ることが可能であった。これは、光熱効果によってCNHsから放出したMCの静菌作用とCNHsの発熱によるものと示唆された。リン酸カルシウム系セラミックスへのCNHsの吸着についても条件設定を行い、CNHsを安定して吸着することができた。CDについては、研究協力者であるA.Bianco博士とディスカッションを行い、同博士は、MCの化学修飾が可能な赤色発光性のCDを合成し、MCとの複合について検討を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ミノサイクリン(MC)を担持可能なカーボンドット(CD)の開発に時間を要したが、研究協力者であるA.Bianco博士は、表面にカルボキシル基を持つ赤色発光性のCNDを合成した。今後、MC等の薬剤の担持を行うことにより研究は進むものと考える。
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今後の研究の推進方策 |
合成したCDへのMCの担持方法を検討し、CD-MC複合体の開発を行うとともに、光照射の条件についても検討する。骨形成の促進については、薬剤や成長因子のCDへの担持を行う。その後、in vitroにおける抗菌性試験を行うとともに間葉細胞の骨芽細胞の分化を確認する。in vitroでの効果を確認し、ラットにおけるインプラント周囲炎モデルを用いてin vivoでの検証を行う。
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