研究課題/領域番号 |
22K19611
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
鈴木 茂樹 東北大学, 大学病院, 講師 (30549762)
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研究分担者 |
山崎 研志 東北大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (40294798)
山田 聡 東北大学, 歯学研究科, 教授 (40359849)
土屋 志津 広島大学, 医系科学研究科(歯), 助教 (60610053)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
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キーワード | IKBZ / ダイレクトリプログラミング / 象牙質 / エピジェネティクス / IkBz |
研究開始時の研究の概要 |
IkBz KO象牙芽細胞では、象牙芽細胞分化マーカーおよび象牙質基質タンパク質をコードする遺伝子群(象牙質機能性遺伝子群)の遺伝子座特異的に、転写活性化ヒストン修飾であるH3K4me3が検出される現象を見い出している。そこで本研究では、生理的象牙質形成促進モデルであるIkBz KOマウスを開発基盤として、WT象牙芽細胞では形成されることのないIkBz KO象牙芽細胞特有のクロマチン高次構造を利用し、象牙芽細胞ダイレクトリプログラミング因子を同定することで、歯髄線維芽細胞から生理的象牙質を形成する「真」の象牙芽細胞へin situ ダイレクトリプログラミングする技術開発に挑戦する。
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研究実績の概要 |
野生型マウスおよびIkBz欠損マウス歯髄からの細胞回収と培養細胞系の確立を行っている。培養細胞の樹立は可能であったものの、継代すると増殖が低下する傾向にあり、実験に供する細胞数を十分に得ることができなかった。今年度は、動物実験棟の改修に伴い、予定数の飼育が不可能であったことから、次年度以降飼育動物数の予定数への増加を行い、細胞回収に使用する歯の数を増やすことで対応する予定である。さらには、細胞不死化を行うことで継続的な細胞増殖を可能にし供試細胞数の確保を行うことも検討している。IKBz欠損が歯髄細胞・象牙芽細胞のエピゲノム変化に影響を与えることを先行研究で報告してきた。一方で、歯髄幹細胞の象牙芽細胞分化過程におけるエピゲノム変化はこれまで明らかにされていない。そこで、ヒト歯髄幹細胞を石灰化誘導培地で長期培養した際の全ゲノム的なクロマチンアクセシビリティ変化をATAC-seq法で解析し、TEADsを始めとする分化に関与する転写因子群の同定とともに、CTCFなどのインシュレータータンパクが関与するゲノム上の転写領域の区切り方(TAD: Topologically Associating Domains)が分化過程において統合的に変化していることを明らかとした。CTCFはインシュレーターとしてのみならず、局所クロマチンへのHATやHDACsの局在を制御することも知られていることから、様々な種類が存在するHDACs inhibitorがin situ象牙芽細胞リプログラミングに有用である可能性を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
相分離ツールによる転写ハブの不溶化と単離FUS (Fused in Sarcoma)由来IDR (intrinsically disordered region: 天然変性タンパク質領域)、H3K4me3修飾タンパク質であるMLL (mixed-l ineage leukemia)、GFP、Cry2(青色光受容体タンパク質)の融合タンパク質 (FUSIDR-MLL-GFP-Cry2) 発現用のレンチウイルスベクターの作製に関しては各ORFを目的の順序に挿入するベクターの作製が進んでいる。一方で、IkBZ KOマウス切歯を顕微鏡下で分割後に組織培養を行う計画については、東北大学の動物実験施設改修に向けて再構築化を行っているIkBZ KOマウスについて、繁殖が想定より時間がかかっており、実験に供するKOマウスの数が不足しているため。
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今後の研究の推進方策 |
IkBZ KOマウス切歯を顕微鏡下で分割後に組織培養を行い、レンチウイルスベクターを用いて融合遺伝子を導入する。GFP陽性化を指標に融合遺伝子発現を確認した後に歯髄組織を剥離し、象牙質表面に残存する象牙芽細胞に青色光を照射する。MLLによりH3K4me3修飾部位に局在している融合タンパク質は、青色光照射によるCry2の自己会合が引き金となり、IDR分子間多点相互作用により相分離しゲル状に不溶化する。細胞溶解後にゲル分離用フィルターで転写ハブを単離する。同様の方法でWT マウスから単離した転写ハブを陰性対照群とする。 単離した転写ハブからタンパク質とncRNAsをそれぞれTMT (Tandem Mass Tag)プロテオーム解析とRNA-seq解析にて同定し、陰性対照群との発現量相対比較により抽出した転写因子とncRNAsをダイレクトリプログラミング候補因子とする。マウス線維芽細胞NIH3T3 に単一あるいは複数組み合わせて各候補因子を遺伝子導入し、象牙芽細胞マーカー遺伝子発現を指標に象牙芽細胞への形質転換を評価することで、ダイレクトリプログラミング因子を決定する。
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