研究課題/領域番号 |
22K19617
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
安部 力 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 准教授 (10585235)
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研究分担者 |
森山 雅文 九州大学, 大学病院, 教授 (20452774)
竹下 徹 九州大学, 歯学研究院, 教授 (50546471)
任 書晃 岐阜大学, 大学院医学系研究科, 教授 (80644905)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 交感神経 / 副交感神経 / 顎下腺 / 耳下腺 / 口腔保健 / 唾液 / 自律神経 / 光遺伝学 |
研究開始時の研究の概要 |
高齢者ではオーラルフレイルの進行により,誤嚥性肺炎の発症リスクが高まる。現在の死亡者数約4万人が2030年には約13万人と約3倍に増加すると予測されていることから,誤嚥性肺炎の予防・軽減手法開発は喫緊の課題となっている。唾液分泌量の低下は誤嚥性肺炎を引き起こしやすい口腔内微生物叢を構築する。唾液腺は自律神経である交感神経と副交感神経により制御を受けており,自律神経の操作による唾液分泌促進にて口腔内微生物叢の改善が期待される。そこで本研究では,神経を特異的に操作できるオプトジェネティクス技術を用いた,従来の口腔ケア等に加わる新しい誤嚥性肺炎の予防・軽減手法の開発を目指す。
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研究実績の概要 |
神経を特異的に刺激するオプトジェネティクス(光遺伝学)技術は,ターゲット神経細胞にウイルスベクターや遺伝子改変動物の交配によって光受容体タンパクを発現させ,光を照射することで神経細胞を特異的に操作することができる。今年度の研究では,この技術を耳下腺の副交感神経に適用し,副交感神経光刺激を用いた唾液分泌促進手法を確立した。 具体的には,ChAT-cre(副交感神経)マウスとChR2-floxマウスをかけ合わせて,耳下腺を支配する副交感神経を操作できるマウスを作製した。約4週間のリカバリーの後,青色光照射を用いた唾液分泌能を電気抵抗測定器を用いて定量的に評価した。耳下腺内に電気抵抗測定器のプローブを挿入し,青色光照射にて副交感神経を活性化すると,耳下腺内電気抵抗値は低下した。このことから,副交感神経活性化にて唾液分泌が促されていることが示唆された。 さらに,光ファイバーを埋入・装着することなく耳下腺副交感神経刺激ができる,近赤外光と希土類のランタノイドを用いた手法にて実験を行った。耳下腺上にランタノイドシートを埋入し,体外から近赤外光を照射すると,耳下腺内電気抵抗値は低下した。このことから,体外からの近赤外光照射を用いることで,低侵襲的に唾液分泌を促すことができる可能性が示唆された。これにより,自由行動下のマウスの耳下腺を長期間刺激することで,口腔内微生物叢の構成変化を捉えることができる可能性が考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
論文投稿もできていることから,おおむね順調に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
近赤外光を用いた耳下腺および顎下腺副交感神経操作による口腔内微生物叢構成への影響を明らかにするために、以下の手法で研究を進めていく。 1) 近赤外光で唾液腺操作ができるマウスおよびそのコントロールマウスを作製する。 2) これらのマウスを断続的に近赤外光照射できるケージ内で照射しながら2~4週間飼育する。 3) 飼育終了時にマウスの口腔内微生物を採取し、網羅的16S rRNA遺伝子解析により各マウスの口腔内微生物叢構成を明らかにする。 4) さらに口腔乾燥症患者の唾液腺組織切片の免疫染色を行い,ヒトへの応用可能性を検討する。
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