研究課題/領域番号 |
22K19633
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 鹿児島大学 |
研究代表者 |
中田 匡宣 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 教授 (90444497)
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研究分担者 |
大貝 悠一 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 講師 (40511259)
松本 愛理 鹿児島大学, 医歯学域歯学系, 助教 (00962424)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
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キーワード | 口腔内細菌 / 一本鎖可変断片 |
研究開始時の研究の概要 |
Fusobacterium nucleatum などの歯周病に関連する口腔内細菌はデンタルプラークの形成過程で重要な役割を果たすだけでなく,口腔内から全身へ伝播し,様々な疾病の一因となることが明らかになっている.このような細菌の表層に存在し,デンタルプラークの形成や全身への伝播に機能するタンパク質に結合する抗体の一本鎖可変断片を人工合成し,病原性の制御と検出に有用であるかについて検討する.
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研究実績の概要 |
マイクロビオーム解析の普及により,全身疾患の病変部位で口腔常在細菌が検出されている.これまで,口腔内グラム陰性桿菌であるFusobacterium nucleatum が全身疾患の発症に関連することが報告されてきた.また,口腔疾患であるう蝕や歯周病は主に口腔細菌がデンタルバイオフィルムを形成することに起因し,デンタルバイオフィルムの形成には,F. nucleatum が,歯面への早期定着菌である口腔レンサ球菌等と後期定着菌である歯周病原細菌等の間を架橋することにより,重要な働きを担う.F. nucleatumが分泌する菌体表層タンパク質は他菌種との凝集とデンタルバイオフィルム形成に関わり,歯周病等の発症に関与すると考えられる.F. nucleatumが口腔より全身へ伝播する過程においては,F. nucleatumの菌体表層タンパク質は上皮細胞や免疫細胞と相互作用し,癌化関連シグナルの誘導や免疫機構からの回避を誘導する.したがって,F. nucleatumの表層タンパク質の機能を抑制することは,デンタルプラーク形成やF. nucleatumが関与する全身疾患の制御だけでなく,バイオマーカーとしても有用であると考えられる.本研究では,ファージディスプレイ法によりF. nucleatumの表層分子に結合能を有する一本鎖可変断片を作製し,F. nucleatum の病原性制御と菌体検出に応用することを目的とした.本年度においても,候補となる表層タンパク質の組換え体と遺伝子変異株の作製を行った.構築した組換え体を用いて,一本鎖可変断片の作製を試みた.加えて,レンサ球菌を含む他の口腔細菌との相互作用を担う表層タンパク質の遺伝子変異株の作製を継続して行った.今後,一本鎖可変断片を用いる感染制御を目指してデータを蓄積する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Fusobacterium nucleatum のオートトランスポーターを含む表層タンパク質について遺伝子変異株と組換えタンパク質の作製を継続して行った.それぞれの組換えタンパク質に対する一本鎖可変断片の作製と一本鎖可変断片の有用性の検討を行える状況であるため,概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
人工ライブラリーの使用による一本鎖可変断片の作製を,Fusobacterium nucleatum表層タンパク質の組換え体を用いて継続する.そして,細菌間,ならびに細菌と宿主細胞の相互作用に一本鎖可変断片が与える影響を検討する.
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