研究課題/領域番号 |
22K19634
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分57:口腔科学およびその関連分野
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研究機関 | 九州歯科大学 |
研究代表者 |
古株 彰一郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (30448899)
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研究分担者 |
中道 敦子 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (20567341)
吉田 竜介 岡山大学, 医歯薬学域, 教授 (60380705)
細見 周平 大阪公立大学, 大学院医学研究科, 講師 (60554938)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 味覚受容体 / サルコペニア / 骨粗しょう症 / Gタンパク質共益型受容体 / ヘテロダイマー / 味覚障害 / 骨格筋 |
研究開始時の研究の概要 |
味覚受容体は口腔内の味蕾だけにあると思われがちだが、実は味蕾以外にも骨格筋などさまざまな組織に発現し、重要な役割を担っていることがわかってきた。そこで本研究では骨格筋に発現する味覚受容体に着目し、骨格筋の萎縮・再生におけるその役割を解明する。
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研究実績の概要 |
わが国は世界一の長寿国であるが,「平均寿命」と「健康寿命」の間には約10年の乖離がある.これは生活の質が低下したり,介護が必要な状態で人生の最後を過ごしたりしなければならないことを意味する.老化による骨格筋の衰弱,すなわちサルコペニアは要支援・要介護の大きな原因である.また,疫学研究により骨格筋量が多いとさまざまな疾病に対する罹患率が低下し,「健康長寿」であることが明らかになってきた.近年,これらサルコペニアと骨粗しょう症を合併したオステオサルコペニアという概念がにわかに注目を集めている.骨粗しょう症であることがサルコペニアと高齢による衰弱(フレイル)の発生に対する危険因子であったり,骨粗しょう症の治療は,骨粗しょう症のみならず将来的なサルコペニアのリスクを減少させたりする.さらにオステオサルコペニアであることは,サルコペニアのみ骨粗しょう症のみよりもフレイルへと移行するリスクが極めて高い.すなわち,サルコペニアのみならず骨粗しょう症の予防や治療法の確立は,超高齢社会のわが国では喫緊の課題となっている. うま味受容体はTas1r1とTas1r3の2種類から構成されるGタンパク質共益型受容体である.従来,味蕾における感覚受容器としてTas1r3とTas1r1のヘテロダイマーでアミノ酸や核酸を受容し,Tas1r3とTas1r2で糖を受容することでそれぞれうま味と甘味として認識できると考えられてきた.今年度は骨を構成する細胞,とくに破骨細胞ではTas1r3は発現するが,本来であればそのパートナーとなるべくTas1r1とTas1r2は発現していないことを突き止めた.さらに,破骨細胞においてTas1r3はホモダイマーとして糖を受容し,その分化を制御している可能性を示すことができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
運動器に発現するうま味受容体において,これまで考えられているのとは異なり,うま味受容体Tas1r3がホモダイマーとして糖質を感知していることを見出した.この発見は本プロジェクトの根幹をなす,骨構成細胞のエネルギーセンシング機構について論文として投稿直前までの状態にまとめ上げているため.
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今後の研究の推進方策 |
骨組織に発現するTas1r3のヘテロダイマーは糖以外のリガンドを受容している可能性が十分にある.われわれはリガンドとのアフィニティーを簡便にルシフェラーゼアッセイ検出できるシステムを構築していることから,このシステムを利用しあらたなリガンドの同定にチャレンジしていきたい.また,骨格筋に発現するうま味受容体がどのような様態でリガンドを受容するのか確認していく.
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