研究課題/領域番号 |
22K19645
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
熊谷 貴 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 助教 (40369054)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | マンソン住血吸虫 / スピルリナ / フィコシアニン / Biomphalaria glabrata / 住血吸虫 / セルカリア / 中間宿主貝 / 飼料 / SDGs |
研究開始時の研究の概要 |
現在、住血吸虫症の対策は薬剤配布による流行地での大規模な感染者の治療が主である。しかし、再感染を容易に繰り返す住血吸虫症では感染の伝播を完全に止めることはできない。また、感染を伝播する中間宿主貝の殺滅も効果的であるが、使用されている薬剤等は環境毒性が高い。私たちは、貝の中に寄生している住血吸虫だけに作用する成分を含んだ飼料を発見した。本研究では、この飼料の有効成分を解析し、住血吸虫の感染幼虫への効果や、投与濃度、投与期間、感染伝播への効果について検討する。最終的には、アジアやアフリカでの流行地において、その飼料を野外に散布することで、住血吸虫症の感染伝播について検討を行っていく。
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研究実績の概要 |
今年度は昨年度の結果を発展させ、詳細な実験と繰り返し実験を行い論文への準備を行なった。特に、スピルリナの効果について、4、6週での効果しか見ていなかったことから、本年度では、4,6,8週、5,7,9週でのセルカリア数をチェックする2回の実験を行なった。これにより、感染週例の早い時期では、効果は大きいが8,9週まで投与を繰り返しても差が生じないことが分かった。これにより、スピルリナの効果は感染初期に起こっていることが確認された。 また、主要な効果成分としてフィコシアニンを使用した実験を行なった。青色天然色素であるフィコシアニンはスピルリナの主要成分であり過去には巻貝への殺傷効果も報告されている。しかしながら、本実験ではスピルリナ単体に含まれるフィコシアニンの倍量を投与してもスピルリナの方が効果が高かった。このことからフィコシアニンはスピルリナの効果を直接説明できないと考えられた。また、フィコシアニンにはセルカリアへの直接殺傷効果は全く観察されなかった。 また、ラオスでのフィールド試験の準備として現地の巻貝を使用した実験を予定していただ、採取時期に出張できなかったために、実施できなかった。代わりにタイ肝吸虫を媒介するBithynia属の巻貝への摂食実験を行なった。結果的には、スピルリナによる毒性は全く観察されなかったが、スピルリナの嗜好性は低い結果となった。 以上の成果を基に論文を準備し、次年度早々に投稿を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度はラオスでのフィールド試験を予定していたが、メコン住血吸虫の中間宿主貝の採取時期に出張することができなかった。代わりにタイ肝吸虫の中間宿主巻貝であるBithynia属の貝を試したが、マンソン住血吸虫の中間宿主貝程の嗜好性が確認できず、餌の改良が必要であることがわかり、野外実施に向けての障害となった。
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今後の研究の推進方策 |
まず、現在の成果について論文発表を行うことを優先する。 同時に、スピルリナの効果が感染初期であったことを踏まえて、感染前、感染初期に限定したスピルリナ摂食を行いセルカリアへの影響を確認する。 また、感染初期であったことから、貝の免疫に作用している可能性を考え、スピルリナ投与による巻貝免疫遺伝子の発現についてRNA-seq等で確認を行う予定である。 野外調査に関して、ラオスでの巻貝への摂食実験を行い、効果的な摂食効率のある形状の飼料を開発する予定である。また、実際にメコン住血吸虫だけではなく、タイ肝吸虫への効果についても確認することで、吸虫類に広く使用可能かどうかについても検討を行う予定である。
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