研究課題/領域番号 |
22K19654
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研究種目 |
挑戦的研究(萌芽)
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配分区分 | 基金 |
審査区分 |
中区分58:社会医学、看護学およびその関連分野
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研究機関 | 大分県立看護科学大学 |
研究代表者 |
吉田 成一 大分県立看護科学大学, 看護学部, 准教授 (40360060)
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研究期間 (年度) |
2022-06-30 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
2023年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 加熱式たばこ / 胎児期曝露 / 性分化 / マウス / 胎児 / sry / IQOS / 性分化関連因子 / 雄性生殖機能 / 発育 |
研究開始時の研究の概要 |
加熱式たばこに関する研究は、気化蒸気中の成分分析、使用者数の推移などに関する研究が多く、加熱式たばこの使用による健康影響に関する研究は少ない。我々は加熱式たばこの胎児期曝露により次生代雄性生殖機能が悪化することを示したが、その影響がどの様に生じるのかについては不明である。本申請課題では胎児の遺伝子発現への影響などを指標に、加熱式たばこの胎児期曝露が胎児にどの様な影響を与えるのかについて明らかにし、出生後の雄性生殖機能悪化が生じる機序の解明を試みる。また、胎児期で生じる影響から、出生後に雄性生殖機能以外への影響が生じないかについても推定を試みる。
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研究成果の概要 |
妊娠中の加熱式たばこの使用により出生雄性マウスの生殖機能が悪化したことから、胎児期に何らかの影響が生じていることが考えられる。そこで、妊娠マウスに加熱式たばこを曝露し雄性胎児の性分化、胎児発達などへの影響が生じるかについて検討した。加熱式たばこの胎児期曝露により、胎齢14.5日目の雄性胎児重量が対照群と比較して低下すること、胎齢11.5日目でsry (性分化関連遺伝子の一つ)の一過性の発現誘導が生じるが、その誘導が遅延することを明らかにした。これらのことから、加熱式たばこの胎児期曝露は雄性胎児の発育遅延と性分化の遅延を惹起し、出生後に生じる雄性生殖機能の悪化の一端であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
妊娠中の紙たばこの喫煙は胎児に悪影響をもたらすことは明らかにされているが、比較的リスクが小さいと認識されている加熱式たばこによる影響は不明であった。妊娠マウスに加熱式たばこを曝露し、胎児への影響を評価したところ、胎児の発育が遅延すること、雄性胎児の性分化が遅延することなど、加熱式たばこの曝露が胎児へ悪影響を示すことを明らかにした。このことは、妊婦が紙たばこではなく加熱式たばこを利用したとしても胎児および出生する子どもに悪影響が生じることを示しており、妊娠中はいかなる様態のたばこであっても使用しない必要性を示すものである。
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